2021年11月16日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
シーシーエス
加藤 恒現 社長
あらゆる製造現場の切削工程では切削工具と対象物の接点に、滑りを良くする潤滑剤や発生した熱を冷ます冷却液として、クーラント液が必要不可欠な存在として介在する。 「その液の粒子を極限まで細分化すれば、浸透圧が弱くなり表面張力が低下するため、浸透性・親水性が向上し、ナノバブル水と同様に様々な今までにない効果を発揮するのではないか」 という発想から、クーラント液ナノ化ミキサー「リキッドカッター」を開発、販売開始しているのが、1997年10月設立のクーラントろ過装置メーカー、株式会社シーシーエスだ。
動力を使用することなく、特殊セラミックボールを加圧通過させることで、クーラント液をナノに近いレベルまで細分化することに成功した同社は昨年6月、取り付け・取り外しが簡単で分解・清掃も容易なカートリッジ構造の「リキッドカッター」を完成させた。 早速同社は長年の顧客先であるモノづくりメーカー数社に、モニターとして同製品の試験導入を依頼。その効果の程を判定してもらったところ、好反応が時を置かず返ってきたそうだ。 曰く、「表面張力が非常に低くなることでスラッジが沈み易く、油分が浮上し易くなった」「切削液の浸透性が向上し、加工精度が安定した」「切削工具や切粉から切削液が分離し易くなり、液の目減り量が軽減した」「切削液が腐敗しにくくなり悪臭が減少した」「スケールや錆が剥離でき、洗浄能力がアップした」など、高評価が続々。そして何より切削工具の摩耗が減り工具交換の回数が激減、工数の削減にも繋がり生産性は大幅にアップしたという。
この好反響に意を強くした同社は従来の顧客先以外にも、工作機械を使用し切粉処理に悩みを抱える製造現場に「リキッドカッター」の導入を勧めている。 ちなみに販売価格は接続口径や流量により異なるが1台~60万円程度。導入による経費削減効果と生産性の向上を勘案すれば、安い投資と言えるだろう。
クーラントろ過装置のメンテナンス会社として、先代社長・金久保實氏が創業した同社に、娘婿として加藤恒現社長が入社したのは翌年の98年。以来、クーラントろ過装置やその周辺のサイクロンセパレーター、オイルスキマー、ドラムフィルターなど、様々な装置を顧客の要望に応えて一品一様で納入してきた同社。それら設備の保守・保全はもちろん、製造現場を熟知するコンサルタント的な役割も果たしてきた同社だからこそ、今回の「リキッドカッター」の開発・製品化に繋がったものと言える。
2018年5月、先代の後継として代表に就任した加藤社長は意欲を語る。 「『リキッドカッター』の普及で、より一層製造現場のお役に立ちたい」
【会社データ】 本社=埼玉県北葛飾郡杉戸町下野823-8 ℡0480-36-3161 営業技術部=埼玉県加須市道地1300-16 ℡0480-31-8072 設立=1997年10月 資本金=2000万円 事業内容=クーラントろ過装置・切粉処理装置・クーラント汎用部品製造・販売 https://kk-ccs.com
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