2015年08月25日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
クマガイ電工
熊谷 康正 社長
暮らしを豊かにするためのアイデア商品は世の中に数あれど、他社にはない技術をもち自社ブランド「サンアート」で独自の道を貫いているのがクマガイ電工株式会社だ。
観賞魚用のサーモスタットとヒーターの開発販売からスタートした同社。その製造で培った技術を生かし、風呂の湯の保温と浄化を24時間行うバス保温クリーナー「湯美人」「湯メイク」や、浴槽に沈めるだけで湯の温度を保つ多用途加熱&保温ヒーター「沸かし太郎」、その他抗菌や入浴効果を高める温浴関連グッズを数多く展開している。
「人の生活に密着した製品だからこそ、ものづくりに対しては非常にシビアな目で判断し、真摯な態度で挑んでいます」と話すのは熊谷康正社長。安全を第一とし、実際に製品を使用した顧客からの声をすぐ製品に還元。改良、改善を日々重ねていくことで品質や性能の向上はもちろんのこと、これまでに事故の類は一切ないという。
そんな同社がいま最も力を入れているのが、ヒーター入り防寒用品だ。ベスト・ブルゾン「ぬくさに首ったけ」、手袋「おててのこたつ」、靴下「あんよのこたつ」、スリッパ「ほっこリッパ」と、ユニークなネーミングで親しみやすく、豊富な品ぞろえで家庭に暖かさを届けている。 ヒーター内蔵の防寒具、と聞くと重く固い生地をイメージしてしまうが、身に付けた瞬間その想像はまったく裏切られる。体にフィットする軽い着心地。薄く柔らかなその生地に驚いていると10秒もたたずふわっと包み込まれるように全身が暖かくなる。内部に組み込まれているヒーターは、同社オリジナルの「マイクロカーボンファイバーヒーター」。ただの繊維の束にしか見えないそのヒーターは、プラスチックや金属製の固く重いものとは異なり、しなやかで強靭。首の後ろと背中、腰部分に装着されており、高い熱伝導率と遠赤外線効果をもつ。この技術が断線しにくく柔らかい着心地と「即暖」を実現させた。
2時間半の充電で約7時間使用可能の大容量バッテリー。コードレスな上、胸元のスイッチひとつで簡単に操作ができ、たとえばスーツや制服の下にインナーとして、あるいは寒い日の屋外で、幅広く使える製品だ。クーリングオフの多い通販業界で驚異の返品率の低さを誇っているのもうなずける。
「水」「電気」「熱」のまったく異なる要素をまとめあげる独自の技術は、今年創業50周年を迎えた同社ならでは。実績が認められ「大阪ものづくり優良企業賞2011」で「特別賞」を受賞。蓄積された知識と経験は他の追随を許さない。「ヒーターの技術を高め、ウェアとしてはもちろん、たとえば医療など異業種にも応用していきたい」と今後の展望を語ってくれた熊谷社長。 一度使えば手放せなくなる同社の製品はこれからも私たちの暮らしに豊かさを与えてくれるだろう。
【会社データ】 本社=大阪府八尾市西久宝寺190―1 ☎=072―992―6611 資本金=3000万円 事業内容=電気機械器具製造 http://www.kumagai-dk.jp
『注目企業オンライン』は各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。
『注目企業ONLINE』は「サンデー毎日」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目企業の掲載記事をオンライン版として公開しています。