221004 イーピーエス㈱/佐々 明 社長

2022年10月04日

サンデー毎日「会社の流儀」掲載

人々の健康と充実した生活を創出する
CRO業界のリーディングカンパニー

イーピーエス㈱

佐々 明 社長

 臨床試験(治験)のプロフェッショナルとして、安心・安全で質の高い新薬の開発をサポートするCRO(医薬品開発業務受託機関)。2018年に2000億円を超えて以降は成熟傾向にある国内のCRO市場において、高度な専門性を生かしながらトータルな健康産業の担い手へと進化を始めているのがイーピーエス株式会社だ。

「業界が右肩上がりではなくなった今、従来とは違うビジネスに目を向ける必要があります。当社のお客様である製薬会社は医薬品の開発に留まらず、一人でも多くの患者を健康にすることを目指している。そのことを忘れず、お客様と一緒に〝人々の健康と充実した生活を創出する〟ことが私たちに課せられた使命です」
 と話す佐々明社長は大手製薬会社でMR(医薬情報担当者)を5年間経験した後、1998年8月に同社に入社。モニタリング業務を皮切りに現場の第一線で研鑽を積む傍ら、創業者でありEPSホールディングス㈱の代表を務める厳浩・会長から何事にもめげない明るい性格と実行力が高く評価され、様々な部門のマネージメントを任されてきた。

 現在はEPSホールディングスの上席執行役員も兼任する佐々社長は、厳会長の人間味溢れる人柄と経営方針がグループの社風として浸透し、各社を成長させる大きな要因だと話す。
「会長は常に『どうしたら〝よい会社〟を作れるか』を考えている。中でも『専門馬鹿になるな』という言葉は印象に残っていますね。高度な専門技術も重要ですが、私たちの仕事はサービス業。お客様から信頼され、先を見て会社を動かすのは『人』だということです」

 特にがん領域に豊富な実績を持ち、創業から31年に及ぶCRO事業で国内トップクラスのシェアを誇るまでに躍進してきた同社。さらに競争力を高めるため、今年に入ってEPクルーズ㈱、㈱EPクロア、EPSインターナショナル㈱の3社と合併した。
また、災害支援や障がい者雇用など社会貢献に積極的なEPSグループを中核企業として牽引する同社は、近年CSR活動やSDGs活動にも積極的に取り組んでいる。昨年4月には、ヘルスケア・社会福祉領域を主な対象とする包括連携協定を茨城県土浦市と締結。自治体向けの健康増進支援という新たな事業領域の開拓に期待が集まる。

「品質経営」を全社で
IT部門もさらに強化

 極めて専門性が高いCRO事業を軸とするトータルな健康増進支援企業へと進化する同社。先々代にあたる田中尚・元社長の「ビジネスマンを作り、育てる」という経営方針にも影響を受けたという佐々社長は、3年前の就任以来もともと同社が得意とする「質」の追求に「品格・振る舞い」をプラスする「品質経営」を経営方針に掲げている。

「社員たちは、基準が法律で定められている医薬品の開発に真面目に取り組み、きっちりと成果を上げてくれています。今後はさらに、常にお客様目線で行動するための『振る舞い』を意識できるように導いていきたい。会社の品質を高め、価値を上げることが私の役割です。全て解決できるとは思いませんが、出来る限り現場の悩みや思いを理解するように努めています」
 と話すように、医薬品開発の頼れるパートナーとしての「振る舞い」を身につけるために、人材教育に力を入れている佐々社長は全社員を対象とする勉強会なども検討しているという。「いずれは社員参加型を目指したい」と「品質経営」のさらなる浸透に意欲を燃やす。

 また、佐々社長はいまやICT(情報通信技術)の活用が不可欠となっている開発支援業務でITサービスの拡張も構想。アプリの提供に留まらず、自社で開発したシステムで様々なデータを収集し、そのデータを二次活用して新薬の開発や人々の健康増進に役立てることが将来の夢だという。

「お客様のニーズに的確に応えてきたからこそ、業界のリーディングカンパニーに成長することができました。しかし、CROの市場にはまだシェアが残っている。昨年非上場化した理由も、スピード感をもってお客様のニーズに応えていきたいと考えたからです」
と話す佐々社長。コロナ禍やICTの普及など、急激な変化が訪れた中でさらに成長するために、従来ビジネスの醸成と切り替えを模索している。そのキーワードが「健康増進」「IT」、そして「グローバル」だ。

真のグローバルCROへ
〝謙虚で堂々〟な人材求む

「霞ヶ浦トライアスロンフェスタ」に協賛

「医薬品は世界同時に開発を行う『グローバル治験』が増えています。小さくても自分たちで治験をコントロールできる拠点を欧米に構えたい。これまではアジアNO.1を目指してきましたが、これからは『グローバルCRO』になることが目標です」(佐々社長)
 予てからグローバル展開を進めてきた同社が、改めて世界シェアの獲得にチャレンジする。そこで必要になるのが、何より人材だ。

 同社は近年、希望すれば英語学習アプリの利用やTOEICも受験できるなど英語の教育環境を整備。グローバル志向の就活生だけでなく、外資系に流れていた語学力が高い人材の獲得にも繋げていく。
「グローバル治験で主導権を握るためには人材の数が全く足りません。文化や言葉の意味が異なる海外でお客様の信頼を勝ち取るためには、言うべきことは自信を持って言う。謙虚でありながら堂々と行動できる人材を大募集しています」
 と話す佐々社長は新たに加わる仲間はもちろん、彼らを迎え入れる既存社員に対し、メッセージを送る。
「一つの専門性を高めてきた能力は、きっと他の場所でも生かせます。どんどん新しいことに切り込んで欲しい。自分でその能力の使い方、楽しみ方に気づいて『いけそうだ』と提案してくれれば協力します」

【会社データ】
本社=東京都新宿区下宮比町2―23 つるやビル
☎03―5684―7797
設立=2014年7月
資本金=1億円
従業員数=3324名
売上高=386億9000万円(CROセグメント)
事業内容=医薬品開発支援事業、製造販売後調査支援事業、安全性情報管理支援事業
https://www.eps.co.jp

 

サンデー毎日「会社の流儀」 イーピーエス株式会社
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