2022年11月08日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
和同建設㈱
金子 守 社長
和して同ぜず――。「誰とでも協調するが、道理に外れたことには同調しない」と、主体性な人間関係の大切さを記した論語の一節を社是に掲げ、その名に冠した和同建設株式会社。創業以来、横浜の地に根差しながら愚直に社是を体現してきた同社が創立70周年を迎えている。 9月28日には市内のホテルで記念式典を開催。コロナ禍で会場の入場制限が敷かれる中、所縁深い取引先や協力業者の面々が集まり談笑の輪が広がった。
「代替わりした会社も増えていますが、できるだけ先代を優先してご招待しました。ここにも、人との関わりを大切にしてきた当社の特徴が表れています」 と話す金子守社長が同社に入社したきっかけは、四年制専門学校の建築科で三年の夏休み、たまたま20日間の職場実習に訪れたこと。言葉では表現出来ない和やかな雰囲気に惹かれ、入社を即決したという。
人柄が魅力の社風を創り出したのは、わずか数名で同社を立ち上げた創業者の長井善三郎。その後を受けた長井邦夫、栢沼貞夫、そして4代目の金子社長と継承されてきた言葉が「人と建物の調和を考える」だ。
このモットーを貫き、一つ一つの現場に情熱と信念を込めて建物を完成させる姿は、「技術の和同」としてクライアントから高い評価を受けてきた。官公庁や自治体からの公共工事を中心に、学校施設の新築工事では横浜市内トップクラスの実績を誇るまでに成長。その実力は民間の工事でも遺憾なく発揮され、横浜に欠かせない建設会社として存在感を高めてきた。
記念式典で挨拶する金子社長
その後、年間完工高80億円を超えるまでに業績を伸ばしてきた同社だが、バブル崩壊の煽りを受けて業績が急降下。会社の存続を諦めざるを得ない状況に陥る中、多くの協力業者から寄せられた「まだやれる」という応援の声を受け、民事再生によって会社の存続を目指す道を選択する。 持ち前の真面目な人柄で堅実に仕事をこなし、クライアントの細かな要望に応え続けてきた同社は、10年前に民事再生を終結。その後は共同住宅・テナントビルの新築工事や耐震・大規模修繕工事、リフォームの需要を掴んで見事に復活を遂げた。
そして今、100年企業への階段を上るために、同社は若い人材の確保と育成に力を入れている。金子社長は時代の変化に対応する一方で、70年間大切にしてきた「人との関わり」を守り続けていく方針だ。 「電子入札が主流になるなど、人と関わる場面が減ってきています。しかし、私たちは時代に逆行していても、もっと人の関わりを追求したいと思います」 と話す金子社長のもとには社員も直接相談に来るという。社風を受け継ぐ仲間とともに、同社の「和」は着実に広がっている。
同社が手掛けた逗子の新築物件
【会社データ】 本社=神奈川県横浜市中区蓬莱町1―1―3 belle関内202号室 ☎045―251―0291 設立=1951年11月 資本金=8000万円 社員数=13名 売上高=9億4000万円 事業内容=建築工事、建築一式工事、リフォーム工事 http://www.wadoo.co.jp
和同建設
『注目企業ONLINE』は「サンデー毎日」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目企業の掲載記事をオンライン版として公開しています。