2023年02月27日
AERA「BUSINESS REPORT」掲載
日本防災スキーム㈱
佐藤 央 社長
今年9月1日、関東大震災の発災から満100年を迎える。それに先立って東京都は、2023年度予算に約20億円を盛り込み、老朽化した木造住宅約32万世帯に、地震の揺れを感知して通電を遮断する「感震ブレーカー」を4月1日より無償配布する施策を打ち出している。 1995年1月17日の阪神・淡路大震災。その折の広範囲な大火災の火元の約60㌫は、電気が復旧した際に転倒・破損したままの家電製品に通電することで起こる通電火災だったと言われている。今回の東京都の施策はそれらの教訓を踏まえてのものだ。
「健康・環境・省エネに配慮した安全で快適な暮らしの創造と普及」を事業領域と定め、様々な住宅設備機器を開発してきた創業35年の㈱エコミナミを母体に、昨年6月に設立された日本防災スキーム株式会社。同社は同じく4月1日発売予定で、コンセント差し込み式の感震ブレーカー「瞬断」をリリースする。 これは、振り子の原理を応用した製品で、震度5強以上の地震を検知すると瞬時にブレーカーを自動的に遮断するもの。アース付きのコンセントに差し込み、アース線を接続するだけで取り付けできる簡易タイプで、設置工事・メンテナンスも不要、低コストで通電火災を予防できる。
エコミナミ・日本防災スキーム両社の代表を務める佐藤央社長は、 「東京都における感震ブレーカー設置率を、20年度時点の8・5㌫から50㌫に高めることで、首都直下地震で起きる火災による焼失棟数を9割近く減らせるとの試算(※)もあり、『瞬断』の普及で感震ブレーカー設置率向上に微力でも貢献したい」 と、「瞬断」普及への思いを話す。
「瞬断」はアース線を接続して取付完了・消防防災製品等推奨証(推奨番号 推防災第52号)
一方、感震ブレーカーの設置がなかなか進まなかった要因には、「夜間の地震で通電を遮断した時、照明も消えてしまい、逆にリスクが高まる」との意見も多いことが挙げられる。 かねてから「瞬断」の開発に着手していた佐藤社長はその意見に、「確かにそれはそうだ。ならば『停電しても消えない電球』を作ろう」と着想。「瞬断」に先立って、点灯中に起こった突然の停電時に内蔵バッテリーを通電させ、明かりを灯し続けるLED照明「いつでもランプtsuita」を完成させた。
「tsuita」で、停電してもこの明るさを保つ
これは、普段の生活ではLED照明に使って電気代を節約し、緊急時には居室の明るさを確保するバックアップ照明として機能。口金部分を握れば通電し点灯するので、いざという時保管場所を忘れがちな懐中電灯代わりにも使える優れモノだ。本社のある稲城市のふるさと納税返礼品にも採用され、人気だという。 但し、佐藤社長は「tsuita」の好調にも気を引き締めている。 「『tsuita』はあくまでも感震ブレーカー普及のために必要なアイテム。最重要課題は通電火災を防ぐことにあります」と。
日本防災スキーム株式会社 本社=東京都稲城市東長沼568-11 HPビル2F ℡080-3713-0069 事業内容=防災に配慮した製品の開発・製造・販売等 https://www.nbss.co.jp
㈱エムシープランナーズ
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