2018年04月19日
週刊文春「会社の実力」掲載
日本ジョン・クレーン
安 容主 社長
「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである」―言わずと知れたダーウィンの言葉である。 日本ジョン・クレーン株式会社は今年3月に創立50周年の節目を迎えた。盛大に執り行われたその式典でも紐解かれた同社の歴史は、グランドパッキンを主流とした時代に始まり、産業用メカニカルシールの生産、そしてカーエアコン市場向けメカニカルシール量産の時代を経て、今日ドライガスシールでは日本国内において90%以上のシェアを獲得するに至る(シールとは、ポンプやコンプレッサーといった回転機械の動力を伝えるシャフトに設置される軸封部品のこと)。
冒頭の自然科学者の言葉は、時代の流れに柔軟に適応してきた同社の歴史を見事に言い表している。 1968年、米国ジョン・クレーン社(JC)と日本のスターライト工業との合弁会社として発足。JCは昨年100周年を迎えた歴史ある企業で、メカニカルシールのパイオニアとも呼べる存在だ。 「当社の強みはなんと言っても世界50ヵ国、230拠点を有する充実したサービス網です。また、ガスシールにおきましては業界に先駆けて国内生産を開始しており他社の追随を許しません。さらに、外資系でありながら、国内に技術部隊と製造拠点を持っていることも大きな特色と言えます」と胸を張る安容主社長。
安社長は日本で大学を卒業後、米国に渡りMBAを取得、米国企業で研鑽を積んだ後、40歳の時に帰国。財務のトップとして入社し、2016年から現職を務める。 数多くの外国企業、外資系企業を見てきた安社長をして、「温かみのある会社。ここは性格の良い人間ばかり」と言うのだから一般的にイメージする外資系とは一線を画す社風があるようだ。
加えて、現在の親会社である英国上場企業・スミスグループも人材への投資を惜しまない方針だという。レベル別の英語教育プログラムや1年間かけてグループ会社の同僚との異文化交流とビジネス・リーダー育成を図るホライゾン・プログラム、海外のエキスパートを頻繁に招いての製品知識に関するトレーニングを実施するなど多様な研修が充実しており、グローバルで活躍できる人材の育成も常に視野に入れている。社員の成長こそが企業成長の源、そんな思いが伝わってくる。
取材の最後に安社長に人材育成の心得を尋ねてみた。 「とにかく士気の高い人には積極的にチャンスを与える。そこでミスを犯したとしたらそれは上司の責任。ミスから学んだことは次に生かしてもらう。私はこれまで一貫してこの姿勢で取り組んできました。当社でも、ゆくゆくは私より優秀な部下を育てて引き継ぐつもりです」
製品力、そして互いに尊敬し合う優れた社員達がいる限り、日本ジョン・クレーンには次の50年に向けて変化に適応し、絶え間なく成長し続ける明るい未来が待っているだろう。
■日本ジョン・クレーン株式会社 滋賀県栗東市上砥山2222番地 ☎077-558-3201 www.johncrane.com
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