2023年04月10日
AERA 「Business Report」掲載
結城運輸倉庫㈱
結城 賢進 社長
100年企業が成し遂げることは、その間、事業を継続させることはもちろん、絶えず世の中に価値あるサービスや商品を提供し続け、100年分の信頼を積み上げることである。「持続可能」が重んじられる昨今、いかに大変なことであるかは、経営者でなくとも想像に難くないだろう。
昭和10年頃の同社社屋
石油製品の運送を中心に150台以上の大型タンクローリーを完備し、関東~東北エリアで15の営業所を展開する結城運輸倉庫株式会社は、昨年11月に創業100周年目を迎えた。 創業の1923年といえば関東大震災が起こった年。同社はその2ヶ月後、まさに瓦礫の街と化した東京で「物流を通じて貢献する」理念を基に創業した。当時は荷馬車による木材や食料品の運送が主だったという。 「私たちは大正・昭和・平成、激動の時代の変化の中で、不易流行の精神で社会が求める物流ニーズに対応し続けてきました」と話すのは、創業者の玄孫にあたる結城賢進社長だ。
創業当時に使われていた荷馬車
2016年、四代目として就任した結城社長は、5つのキーワード「永続性・挑戦・矜持・謙虚・責任」を全社員と共有すべき価値観として掲げ、各々が実務に浸透させるべく組織を編成。後に同社の道標となる『YUKI WAY』の確立へと発展させた。
社内コンテストによって採用された 同社の100周年記念ロゴマーク
『YUKI WAY』とは100周年の節目を見据えて構成された同社の新たな経営理念で、これまでの歴史から培ったノウハウや価値観を、これからの時代が求める物流ニーズへと昇華するための道しるべが集約されている。
「鉄鋼や石油など日本の基幹産業を支える企業間物流を軸に成長してきた私たちは、来たる脱炭素社会・循環型社会に対し、今まさに企業の存在意義を問われています」(結城社長)
同社は21年、循環型物流を通じて脱炭素社会に貢献し、気候変動問題に解決に寄与する「グリーン物流」事業をスタート。産業廃棄物処理工場で再生された固定燃料を需要先へ届ける業務のほか、同社で排出される廃棄物を資源再生工場へ運び入れる静脈物流にも着手した。自ら排出する廃棄物を自ら納品し、再生した後に自ら輸送を手掛ける循環サイクルは、再生燃料を運ぶだけではない、その先にある業界としての「可能性」を捉えたものだ。その根底には、常に時代の行く先をしっかりと認識しながら「物流を通じて貢献する」創業時の理念が息づいている。
100周年記念のラッピングが施されたタンクローリーが走る
「これからの社会に貢献する物流ニーズを常に探索し、サービスに結び付けられたら、私たちの未来が見えてくる。そのビジョンを具現化するのは私の役目ですが、キャンパスを描いていくのは、社員一人ひとりです。私たち皆が力を出し合って助け合い、支えながら描かれる『絵』は華やかならずとも、きっと魅力的で社会に愛されるものになるでしょう」 と、結城社長は将来像を語る。
結城運輸倉庫株式会社 本社=東京都江東区深川1-6-29 ☎=03-3643-3701 創業=1923年11月 資本金=9600万円 従業員数=319名 売上高=36億500万円 事業内容=一般貨物自動車運送、港湾運送、通関、倉庫業ほか https://www.yukiunyu.co.jp
結城運輸倉庫株式会社
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