2024年04月23日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
シンテックス㈱
八木澤 恭子 社長
宇都宮にオープンするショールーム
全ての人が快適に暮らせるバリアフリー社会の実現――。日本人の4人に1人が75歳以上の「後期高齢者」となる「2025年問題」も眼前に迫る中、階段昇降機・段差解消機のトップブランドとして信頼を集める「タスカル」シリーズの新たなショールームが、4月29日に宇都宮でオープンする。
「福祉業界で当社の商品は知られていますが、階段昇昇降機そのものの一般的な認知度はまだ低く、使う前は『怖い』と思っている方もいらっしゃいます。カタログだけで選ぶのではなく、車と同じように実際に試乗し、利便性や快適さに納得した上で商品を選べる環境が必要だと考えました」 と語るのは、栃木県さくら市に本社を構えるシンテックス株式会社の八木澤恭子社長。自社ブランドとして屋外用商品を日本で最初に発表した「タスカル」シリーズのさらなる普及を通じて、福祉機器への理解と認知向上を目指している。
1971年に創業し、医療機器や送変電機器、交通車両、郵便区分機など多品種少量生産の機械板金部品を一貫体制で手掛けてきた同社。溶接をはじめとする高度な匠の技と最新鋭の設備を擁して半世紀以上培ってきた強みを新たな分野に展開すべく、95年に階段昇降機の開発に着手した。 翌年に発表した階段昇降機「タスカルST」を皮切りに、2002年には段差解消機「タスカルりふと」を開発。海外製の商品が大半を占めていた市場では貴重な国産メーカーとして安心を提供しながら、国内トップクラスのシェアを獲得するまでに成長した。
「安全が一番大事。その上で、いかに日本人、特に小柄な方が多い高齢者の体格や生活環境に合ったスリムでコンパクトな製品を作れるかを追求しています」 と八木澤社長。利用者の座高や取り付ける階段の幅、昇降速度など細部まで考え抜いて開発した商品は、屋内・屋外や直線・曲線などタイプ別に豊富なラインナップを揃え、レールの出寸がわずか10㌢㍍という収納性に優れた商品もある。
いす式階段昇降機「タスカル」
八木澤社長は「自ら高齢者や身体に障がいを持つ方の大変さがわかることで自然と手助けできるようになる」と、地元の子どもたちも招いて「タスカル」シリーズの体験会も開催。さくら市と共催の認知症理解を促す講演会や社内での認知症サポーター養成講座など、地域の豊かな福祉環境づくりに貢献する傍ら、日本に追随して高齢化社会を迎えるであろう東南アジアに熱視線を送る。特に注目しているベトナムから既に9名の人材を採用している。
「ベトナムの方はフレンドリーで礼儀正しく、年上の人を敬う姿勢や『明日は今日より良くなる』という〝昭和の日本人〟にも似た気質に好感を抱きました」 と話す八木澤社長は前向きで明るい人材の採用や、自発的な行動を促す社員研修の強化を推進。「総和による勝利」を経営理念に〝グローバルスタンダードへの挑戦〟を進める。
【会社データ】 本社=栃木県さくら市喜連川1114 ☎028―686―3311 設立=1971年7月 資本金=5000万円 従業員数=103名 事業内容=機械板金加工・福祉機器の開発製造販売 https://syntex.co.jp
シンテックス㈱/八木澤 恭子 社長
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