2021年07月27日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
日本カプセルプロダクツ
舘岡 祐幸 社長
ミクロン(「ミリ」の1000分の1)単位に微小化した内包物質の粒子一つ一つを薄い皮膜で包むことによって製品の安定性や寿命の向上、放出のコントロールなどを実現するマイクロカプセル。いまや多彩なジャンルで応用されるマイクロカプセルの専業メーカーとして市場を牽引しているのが株式会社日本カプセルプロダクツだ。
「既存の技術を継承しつつ、変革の時代に適した新しい製品開発を進めていきます。お客様の要望に応えるためにさらに高度な技術力を構築し、可能性がある限りチャレンジを続けることが私の務めだと思います」 と話す舘岡祐幸社長。「感謝しかない」と慕う歴代社長が育ててきた老舗企業を今年2月から率いている。
同社の前身は、世界で初めてマイクロカプセル技術を使って「ノンカーボン複写紙」を製品化した外資系レジスターメーカー。この会社に勤めていた鷺谷昭二郎氏が1979年に同社を創業以来、数々の研究開発と製品化に注いできた情熱は、当初から平塚工場を率いてきた先代社長の中西真行氏へと受け継がれ、全社員に浸透しているという。
特にゼラチンや樹脂系の皮膜剤を用いたカプセルを得意とする同社は、磁気表示用のマイクロカプセルや香料カプセル、可食型マイクロカプセル、感温カプセルなど様々な製品で、大手企業を中心とするクライアントに付加価値を提供。舘岡社長は今後、地球環境への負荷が少ない植物性や生分解性の皮膜を使った製品の開発にも挑戦していく。
「将来的に市場のニーズは環境負荷を抑えられる製品へと向かっていくでしょう。お客様はもちろん、消費者の声に応えるためにも今から挑戦しなければ間に合わない。なんとか完成させたいですね」(舘岡社長) 平塚市の産業間連携ネットワークが推進する「レミンドプロジェクト」にも参加する同社。香りを監修する横田園芸、傘カバーをデザインする㈲こぼりとタッグを組み、同社の香料カプセルを応用した「ひらつかローズ」の香る傘カバーは地元のみならず、メディアからも注目を集めている。
また、「とにかく真面目」と社員たちを評価する舘岡社長は、平塚工場の工場長を務めていた当時から技術継承を意識した人材教育を実践。新入社員は一人ひとり違うテーマを持つ先輩社員の指導を受け、1~2週間交代で全ての〝師匠〟から技術を学んだ後、自ら新たなテーマに取り組む。若い社員たちが自然と会社に溶け込みながら、ひと通りの技術を習得できるのだ。
「わからないことは皆でサポートする。教える側の先輩社員も勉強しなければなりません。会社の発展には社員の協力が不可欠。彼らをサポートすることが私の仕事だと思っています」 と舘岡社長。働き易い環境づくりや経営理念の策定などを進めるとともに、将来はBtoCの新規事業や新工場の開設にも挑戦したいと意欲を見せる。
【会社データ】 本社=東京都千代田区岩本町2―1―3 ☎=03―3863―3076 設立=1979年12月 資本金=2500万円 従業員数=25名 事業内容=マイクロカプセル応用製品の製造販売 https://www.japancapsular.com
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