2021年07月20日
週刊朝日「Challenge 2021」掲載
日東工機
吉岡 良三 社長
溶接材料・溶接機や産業機器、工作機械、工具類など多彩な商品を取り扱う日東工機株式会社。80年近い業歴を誇る老舗卸売企業としてメーカーとディーラーを繋ぎ、「きる」「まげる」「つなぐ」「みがく」という、金属加工の4大技術を中心としたモノづくりのニーズに応える商品を提案することでユーザーをサポートしてきた。
1943年に電気・ガス溶断器具材料の販売で創業した同社はその後、卸売業へ事業転換。現在は北海道・東北・関東・甲信越・東海地域に15の営業拠点と関連会社7社を配し、約1000社の販売店ディーラーを通じて、日本を代表する大手メーカーなど300社・1万点以上の商品を加工・製造の現場に提供している。 「メーカー、販売店、当社が共に発展するためには三者相互の『絆』が大切です」 と語る吉岡良三社長は高校卒業後、母校の先輩が創業した同社に入社。2000年に就任して以来、「つながって、輪になって、大きな『絆』を創りたい」の理念を体現するために様々な取り組みを展開している。
その一つが、毎年実施する「チャレンジセール」。期間中の同社取扱商品の販売実績で獲得したポイントに応じて、海外・国内旅行に招待。35周年を機に40年以上続く人気イベントは今年、万全の感染症対策を取りながら昨年実施できなかった沖縄旅行を計画する。
また、夏・冬の年2回発行する「チャレンジ通信」は毎年交代で若手社員を中心に担当者を募り、自社で作成する商品カタログ。従来の枠を超えた広範囲な商品を紹介し、販売店の販促や顧客との話題づくりに活用されている。
2年ごとに浅草の施設を借り切り、メーカーごとにブースを設置して販売店やユーザーを招待するオリジナル展示会「チャレンジフェア」も好評。メーカー・販売店・ユーザーそれぞれの生の声を聴ける貴重な場となっているという。
また、折に触れてOB会を開催し、旧交を温めながら貴重なアドバイスも受けているという吉岡社長。3回目のOB会は去る6月25日、1年半後の創業80周年の節目に建て替える現社屋への「お別れ会」として開催された。かつて働いていた部署を訪ねて現役社員と談笑する人や、社内を散策して「全然変わっていない」と感慨にふける人、「この部屋は昔、違う用途で使っていた」と驚く人などOBの反応は様々。過去の写真などが展示された4階の会場では当時の思い出や近況を語る姿が溢れ、自己紹介を兼ねた挨拶で「ますます期待している」と、今後の同社にエールを送るOBもいた。仲間たちを前に、吉岡社長は7階建ての新社屋を完成イメージで披露。前日に行われた株主総会で再任した取締役たちが力強く決意表明する場面もあった。
「大変お世話になったOBばかり。新しい本社が完成した時には、また集まってくれると嬉しいですね」 と話す吉岡社長は会の途中、参加者の発案で創業者の墓参りに出かけた。
さらに翌日は、全国の営業所から50名近い有志が駆けつけ、社員のための「お別れ会」を実施。前日同様、4階に用意された展示物を食い入るように眺める姿が印象的だった。同社に流れる「絆」と「誇り」が胸に刻み込まれたに違いない。
「創業者の肝いりで建てた現社屋は、社員たちが前向きに活動できる拠点でした。80周年という通過点に、新たな日東工機の『建物』という基礎を残すことが私の役目です」(吉岡社長) 80周年記念史の製作プロジェクトも発足し、社員とOBが協力しながら節目を走り抜けようとしている同社。さらに「絆」を深め、視界に入った100年企業への挑戦が始まった。
【会社データ】 本社=東京都港区三田5―6―7 ☎=03―3453―7151 創業=1943年10月 資本金=5億8150万円 従業員数=113名 売上高=108億円 事業内容=溶接材料・溶接機、産業機器、工作機械、工具類、荷役運搬機器、検査・測定器等の卸販売 http://www.nittokohki.co.jp
『注目企業オンライン』は、各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。
『注目企業ONLINE』は「サンデー毎日」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目企業の掲載記事をオンライン版として公開しています。