京浜ラムテック/松本 光裕 社長

2021年10月12日

サンデー毎日「会社の流儀」掲載

真空成膜技術のトップランナーに成長し
創業50年目で念願の完成装置メーカーに躍進

京浜ラムテック

松本 光裕 社長

 去る9月30日、京浜ラムテック株式会社本社で、同社初のオリジナル製品「RAMスパッタリング装置」の記念すべき出荷式が行われた。これは、同社が長年培ってきた真空成膜技術と接合技術・加工技術の結晶で、基板へのダメージを60㌫以上低減しつつ、成膜速度を3倍以上向上する業界最高速の成膜装置だ。モノづくり企業にとってオリジナルブランド製品の完成は一つの到達点だが、同社は創業50年目にして初めて完成装置メーカーに躍進したものと言える。

 1972年5月に京浜ファスナーとして創業、ベアリング部品の製造でスタートした同社はその50年の歴史の中で、各時代の最先端技術に果敢に挑戦し、革新的技術を生み出してきた。
日本でいち早く摩擦攪拌接合を導入するなど接合技術を蓄積する中、2007年には接合・溶接技術の総本山・英国TWI社とライセンス契約を締結。13年には現在の成膜装置の元となる低ダメージカソードの開発に着手。17年には「四面対向式低ダメージカソード」を完成させ、重要な機構部品として欧米はじめ世界の成膜装置メーカーに納入されている。

 成膜装置とは、食品のパッケージやスマホのディスプレイ、精密機器の半導体や医療機器など、様々な分野の製品に特殊な機能を与える薄膜を形成する装置。近年では、同社の技術を活用して発電効率を格段に高める次世代ソーラーパネルが開発されるなど、成膜技術の果たす役割は大きい。
今回の完成装置の初出荷は世界最先端の太陽電池技術を開発する海外の国立大学研究機関向けのもので、同社にとって今後の世界市場での飛躍を予感させる大きな金字塔だ。

革新的・先進的メーカーが
「RAM」に込めた思い

 1999年に現社名に変更した同社だが、社名の「RAM」に込めたのは、「革新的且つ先進的なメーカー」でありたいという強い思いだ。その意志の通り、同社はこれまで得た利益の大半を、内部留保に回すのではなく開発投資に投入してきた。その甲斐あって独自技術で現在のニッチトップの地位を築いた同社は、次代を担う若手社員の採用にも力を入れている。

 2016年には中国・蘇州に工場を開設するなど海外で闘う準備を整えた同社は、18年に本社を全国からのアクセスも良い新横浜に移転、オフィス環境も緑豊かにお洒落に整備し、新戦力の参加を歓迎している。

 NECファシリティーズで損保営業を経験した後、先代社長に請われて01年に同社に入社、持ち前の営業力で業績を急回復させ、現在は3兄弟を軸に会社を率いる松本光裕社長は、望まれる人材像について話す。
「求める資質はただひとつ『探究心』です。当社に蓄積された数々の独自技術を吸収し、世界を視野に最先端のモノづくりに果敢に挑戦して欲しい」

松本 光裕 社長

【会社データ】
本社=神奈川県横浜市港北区新横浜3-23-3 AKビル3F
℡045-620-6460
設立=1972年5月
資本金=2000万円
社員数=75名
事業内容=真空成膜装置事業、FSW(摩擦攪拌接合)事業、マテリアル事業等
https://www.ramtech.jp

 

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