2022年09月15日
週刊文春「会社の実力」掲載
クイック・ロック・ジャパン㈱
河合 元浩 社長
普段便利に使っていても、その名前が思い浮かばないモノ=クイック・ロック・ジャパン株式会社が提供する、食パンの袋などを留めるアレ、その名も「バッグクロージャー」だ。
1954年、米国・ワシントン州のクイック・ロック社が地元のリンゴ農家の要望に応えて、リンゴを新鮮なまま安全に袋詰め出来る留め具を開発したことに始まる「バッグクロージャー」。以来70年、同製品は様々な改良を重ねて世界6大陸約100カ国に普及、数十億人の人々に利用されるに至っている。
その日本上陸は日本法人設立の1983年。当時、パンの留め具の主流は針金を含む樹脂のビニタイだったが、食品への異物混入を防ぐために徐々に金属を含まない「バッグクロージャー」に置き換わっていく。 導入には専用の自動結束機の設置が必要だが、一度製造ラインに設置すれば約4000個が一列に繋がったロール状の同製品が次々に供給され、生産が止まることはない。今や年間数十億個もの「バッグクロージャー」が利用されている。
いわば安定的なプラットホームビジネスといえる同社事業だが、将来を見据えて課題が無い訳ではない。環境問題の一因とされるプラスチックが素材だという点が課題の一つだ。 ともすれば安定した環境に安住しがちな同社は、社内活性化を期して2019年4月、新社長にソニー出身の河合元浩氏を迎えた。
河合社長が就任後まず手掛けたのは、変化に対応できるチーム作りのための施策だ。「ビジョン」「ミッション」及び行動指針「バリュー」の設定に始まり、行動指針とリンクした評価制度の導入、そしてIT環境の充実化も行った。 社長就任後3年を経過し、行動指針が浸透するにつれ、社内は徐々に活性化している。社長就任10カ月でコロナ禍に見舞われたが、事前のIT環境の充実化が功を奏してテレワークにもスムーズに対応できたという。
クイック・ロック社はグローバルでサステナブル商品の開発に力を入れており、日本では昨年10月に植物由来原料を10㌫以上使用した環境に優しい「エコ・ロック」(バイオマスマーク認定商品)の販売を開始。この程製パン大手・フジパンが「本仕込」を含むすべてのバッグクロージャー付きの商品に採用し、9月1日から市場にお目見えしている。
「『エコ・ロック』の採用は増えているが、製パン大手による全面採用は今回が初めて。一般消費者にも『エコ・ロック』を知ってもらう契機になればと期待を寄せている。今後は製パン業界だけでなく、野菜や生麵など新市場も開拓し、『エコ・ロック』の新しい使い方を提案すると共に、更に環境に配慮した新商品の開発に取り組んでいく」 と、河合社長は変化の重要性を語っている。
【会社データ(問合せ先)】 本社=埼玉県川口市元郷2-4-12 ℡048-224-1666 設立=1983年11月 社員数=75名 事業内容=バッグクロージャー、ラベルクロージャー、自動結束機等の販売・保守 https://www.kwiklok.com/jp
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