2022年10月18日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈱エムシープランナーズ
畠山 文明 社長
日本のオフィスフロアの主流を占める「タイルカーペット」。毎年約2500万㎡が生産される内、約2000万㎡は貼り替え需要で、貼り替え後のカーペットは殆どが廃棄されている。その面積は東京都港区の広さに匹敵し、廃棄総量は10万㌧に及ぶという。 この膨大な無駄を何とかしようと、タイルカーペットの「丸洗いリセット施工」に取り組んでいるのが、1994年6月設立の株式会社エムシープランナーズ(畠山文明社長)だ。
清掃機器大手商社の蔵王産業勤務を経て起業した畠山社長は勤務時代の経験を生かして、Marble(大理石)とCarpet(カーペット)専門の特殊クリーニング施工会社を創業した。 石材の種類や汚れのタイプによってクリーニング方法が異なるなど、石材の再生施工には高い技術力が要求されると言われる中、同社は28年の歴史の中で独自の洗浄技術と百戦錬磨の職人技を獲得。「ダイヤモンド研磨」や「シミ抜き洗浄」、「大理石壁面専用の<スライド研磨>」など、高度な技術を駆使して新築時のツヤ・輝きを取り戻している。他の施工業者がお手上げの案件の依頼が舞い込むことも多く、リピート率90㌫以上という同社には、ホテルやビルオーナーからのリピート受注が相次いでいる。
大理石の「ダイヤモンド研磨施工」(ビフォア⇒アフター)
一方「タイルカーペット」の洗浄においてはこれまで行われている敷設したままの清掃作業では思うような洗浄成果が得られず、汚れに諦めて新品に貼り替えるのが一般的で、結果、冒頭に述べた膨大な無駄に繋がっていることは意外に知られていない。 そんな時、畠山社長は前職の蔵王産業が開発した、「カーペット丸洗い洗浄機」に出会う。これを使えば現場で一枚一枚徹底的に洗浄し、衛生的な「タイルカーペット」に蘇らせた上、再度貼り直すことで、見違えるほど綺麗に仕上げることが出来る。今まで廃棄されていた「タイルカーペット」に再び命を与える画期的な「丸洗いリセット施工」の誕生だ。 この「丸洗いリセット施工」は、新品貼り替え工事と比較してコスト削減効果と、廃棄されないことによる環境負荷低減効果が評価され、SDGsの推進に取り組む大手企業を中心に順調に普及が進んでいる。
丸洗いリセット加工(ビフォア⇒アフター)
また同社では、オフィスの原状回復工事などで発生した、どうしても廃棄せざるを得ない「タイルカーペット」の中で、再利用可能な物は有償で引き取る。そのカーペットは、千葉県大網白里市に設置した「タイルカーペットリユースセンター」にて「丸洗いリセット洗浄」で再生され、リユースタイルカーペット「エシレ」(エシカルとリユースを組み合わせた造語)として、再度活躍の場を与えている。
丸洗い洗浄装置(左)、リユースタイルカーペット「エシレ」(右)
その「リユースセンター」で作業に当たるのは、就労支援の一環として障害者・高齢者を採用。これら一連の取り組みは、内閣官房「国土強靭化・民間の取組事例集」に採用されるほか、「第2回エコプロアワード」優秀賞も受賞している。
[会社データ] 本社=東京都江東区北砂1-11-5フリーゼハヤシ4 ℡03-6666-2766 事業内容=石材・タイルカーペットの再生施工等 https://www.mc-planners.com
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