2022年10月25日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈱マブチ
坂本 幹夫 社長
1954年、主に米軍とその家族の引越荷物の梱包や米軍調達局の特需物資包装から、自動車エンジン等の輸送用木箱の製作で創業し、やがて国内自動車メーカーとの輸出梱包請負取引も始まるなど、益々の業容拡大を受けて76年に法人設立されたのが、今や押しも押されもせぬ輸出梱包のエキスパートに成長した株式会社マブチだ。
設立以来、顧客の近接地に部材工場を設置し、タイムリーに必要な部材を生産・搬入できる体制を整備。機械設備等の梱包ではスチールケース梱包の手法を日本で初めて導入、飛躍的に輸送品質を向上させた。また、横浜・神戸・名古屋の各港に工場を設置。中でも横浜・神戸には大型貨物をハンドリングする60㌧クレーンを所有し、各種工作機械や工場設備丸ごとの輸出梱包にも対応する重量貨物取扱ノウハウは随一に。更に通関・現地への搬送・据付まで、海外物流の一貫請負体制を整えてきた。
巨大な「スチールケース」をクレーンで吊り上げる(左)、60㌧クレーン(右)
現在では国内35拠点の他、関連会社4社、海外ではマレーシア・タイ・インドネシア・カンボジアに6拠点、更に関連会社を通じて世界各国代理店300社のグローバルネットワークを構築し、顧客の細かな要望に柔軟に対応。拠点網の中には、トヨタホームの製造工程を担う栃木事業所や、各種包装・梱包資材の製造販売機能を有する部署も擁し、顧客先は自動車・機械・精密機器等、あらゆる輸出分野の1000社を超える。
学生考案による「マブダチマブチ」のロゴ
そんな同社を率いるのは、93年入社の坂本社長・55歳だ。坂本社長は松江高専卒業後、総合化学メーカー勤務を経て同社・米子工場に入社。包装資材の商品開発に携わった後、伊丹工場で木箱・鉄箱等梱包容器の設計・製作を経験。99年には、150名の陣容を擁する主力事業所の一つ滋賀事業所の運営を歴任。そこでの組織運営手腕を評価された坂本社長は、執行役員、副社長を経て2013年、代表取締役に就任するに至る。
中途入社の坂本社長が、勤続20年目に社長に抜擢される人事からも同社のオープンな社風が窺える。昨年には神奈川経済同友会の「産学チャレンジプログラム」に参加して学生との懇談を重ねる中、「マブダチマブチ」などのキャッチフレーズが学生から提案されホームページなどで採用。顧客との密接な距離感を表す、絶妙で若者受けする言葉が生まれた。
SDGsにも積極的に取り組む同社は、20年10月の「かながわSDGsパートナー」に続き、22年9月の「みなとSDGsパートナー」にも登録されている。 21年に全社員参加で中期経営計画を策定した坂本社長は、就任10年目に語る。 「M&A推進含め、中・長期計画で会社を運営し、関わる人すべての幸福と繁栄に貢献していきたい」
【会社データ】 本社=神奈川県横浜市中区日本大通17 JPR横浜日本大通ビル3F ℡045-210-0055 創業=1954年10月 設立=1976年10月 資本金=1億3000万円 従業員数=約1400名(グループ合計) 事業内容=国際一貫物流、各種輸出梱包の請負・通関業、トヨタホームの製造、包装資材販売等 https://www.k-mabuchi.co.jp
ICS㈱
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