2022年12月20日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈱北川組
北川 尚子 社長
名古屋を象徴する数々の建築遺産を創造し、日本の近代建築を牽引してきた株式会社北川組。地元の名門建設会社として発展の一翼を担ってきた同社は今年で創業150周年、設立100周年という大きな節目を迎えている。
1872年10月1日に初代・北川幸吉が同社を立ち上げ、北川宇三郎が英国人技師から煉瓦工法を習得して日本銀行西部支店の新築工事に携わったことが事業の礎。その後、2代目・北川幸吉(「誠太郎」から改名)が宮内庁の特命を受け、1945年に焼失するまで名古屋城(当時「名古屋離宮」)の「お庭番」として改造、改修工事を請け負った。
改築工事を手掛けた名古屋城西南隅櫓(重要文化財)
さらに、陸軍省から発注を受けた各務原航空隊(現・航空自衛隊岐阜基地)など軍事関連施設をはじめとする官公庁工事で急成長を遂げた同社。文部省の依頼で現在の国立大学に昇格する前の近代学校建築(名古屋大学、三重大学、静岡大学、岐阜大学)も担い、名古屋が飛躍するきっかけにもなった各博覧会や、地元を創業の地とする名だたる大手企業の施設も施工した。
今も日本屈指の入場者数を誇り、開園当時は「東洋一の動物園」と言われていた「東山動植物園」も同社が新築工事を手掛けた代表的な実績。地鎮祭から開園まで8カ月半という短期間で全ての工事を遂行したほか、極めて難易度が高い電気溶接に成功した植物園温室は現存最古の歴史的建造物として、2006年に重要文化財に指定された。
第二次世界大戦後はライフラインや公民施設の復旧に加え、住宅の新築工事など、戦災からの復興に貢献してきた同社。令和の現代まで時代を跨ぐ技術力は個人住宅や民間マンション、医療施設、社屋・店舗などの新築からリフォーム、建物のメンテナンスまで広範囲に領域を広げている。 「150年も事業を継続してきた理由は、お客様の夢や理想を叶えるため。これからの時代はデザイン力などソフトの技術をさらに強化する必要があります」 と話すのは、先頭に立って「『技術』を『感動』に」という経営理念を追求する北川隆志会長。社会面・機能面・感情面という3つのクリエイティブシンキングを念頭に置き、クライアントニーズの〝本質〟を見極めることが大切だという。
新築工事を行った東山動植物園(昭和12年当時)
そして、10月から北川会長の息女・北川尚子氏が新社長に就任し、50年、そして100年先にも続くサステナブルな企業へと進化しようとしている同社。自身の手で150周年記念誌『きたがわ史』を編纂した北川会長は、次世代の社員たちにエールを送る。 「少子化も進み、ますます時代の変化は激しくなりますが、『住』は無くならない。縁あって一緒に働いている社員を大切にしながら200年企業を目指し、どんな形でも人に喜ばれ、世の中の役に立つ仕事を続けてもらいたいですね」
【会社データ】 本社=愛知県名古屋市瑞穂区駒場町7―4 ☎052―853―1100 創業=1872年10月 資本金=6000万円 社員数=28名 売上高=15億円 事業内容=総合建設業、一級建築士事務所 http://www.kitagawa-gumi.co.jp
㈱光英科学研究所
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