221220 大栄フーズ㈱/岡 康人 社長

2022年12月20日

サンデー毎日「会社の流儀」掲載

50周年迎えたシーフーズ惣菜のトップランナー
ニッチ食材で世界を魅了する圧倒的ブランド力

大栄フーズ㈱

岡 康人社長

 今から40年以上も前に海外輸出をスタートし、ユネスコ無形文化遺産である日本食の魅力を発信してきた大栄フーズ株式会社。ニッチな食材を使った「シーフーズ惣菜」の開発で新たな市場を創造し、世界的なトップブランドに成長した同社は今年、創業から50年の節目を迎えた。

「あまり知られていない食材でも、食卓に乗れば思わず食べたくなる商品を開発すれば支持されると確信していました。日本食はフレンチやイタリアンと同じく、アジアの『帝国料理』。今や『大栄フーズ』の知名度は海外の方が高く、当社の商品の〝偽物〟が販売されている国もありますよ」
 と、日本食の影響力と海外における自社のブランド力の強さを語るのは岡康人社長。当初から世界中を飛び回り、現地の優良な仕入先と関係を築いてきたことで、現在は原料の98㌫を海外から輸入している。

 良質な食材をより安く、新鮮な状態で確保できる強みを生かし、様々な国の味覚に合わせた寿司種や珍味、サラダ、練物など200種類以上の商品を提供。中でも同社の代名詞といえる商品が、他社に先駆けて「惣菜」としての量産化に成功した「中華くらげ」だ。

 当時はまだ中華料理の高価な〝珍味〟に属していたクラゲに日本人好みの中華風の味付けを施し、「中華くらげ」として商品化した岡社長。クラゲを「食べられるもの」と認識している日本人は少なく、東北では「切り干し大根」と間違えられるほどだった。
 そんな中、岡社長は東京のメジャーなスーパーをくまなく回り、食べ方を教えることから着手。その後、全国の催事場への出店で爆発的なヒットを記録し、一店舗で一日300㌕という驚異的な量を連日販売することもあったという。

寿司種として不動の人気を誇る「とびっ子」(左)、同社の代名詞的商品「中華くらげ」(右)。

 2008年には、食品などの美味しさや品質を世界レベルで評価する「モンドセレクション」の一般食品部門で金賞を受賞した「中華くらげ」。11年には、トビウオの魚卵を塩漬けした「とびっ子」と同賞のダブル受賞という快挙を成し遂げた。今や定番の寿司種となったこの「とびっ子」も、当初は「イクラや数の子があれば充分」と築地で相手にされなかった商品。岡社長はアメリカの寿司屋に売り込み、現地でブームとなって日本に逆輸入された。

「モンドセレクション」10年連続受賞のトロフィーと授賞式にて

苦難を乗り切る実行力
完璧な衛生管理を推進

 また、従来は肥料にしかならないと思われていたホタテ貝のヒモをボイルして味付けした惣菜は、ホタテに馴染みがない九州・沖縄から人気の火がつき、全国へ広がった。いまやスーパーや飲食店でスタンダードになった同社の商品の背景には、「食べられるのに捨てられてしまっている食材」に光を当てた岡社長の着想と実行力があったのだ。

ニッチ食材を使った「中華ほたてひも」

 その実行力は、同社が最大の危機に直面した時にも発揮された。東日本大震災による原発事故の影響を受け、長らく主力工場として稼働していた4000坪の東北工場が立入禁止になった際、「継続は力なり」と会社の存続を決断した岡社長は、僅か2年半で東北工場の約2倍もの敷地面積を持つ千葉香取工場を竣工。しかも、その場所はかつてソニーが「ウォークマン」を開発し、世界に羽ばたいた場所だった。岡社長は、「パワースポット」と位置づける千葉香取工場の周囲に植えられていた木を1本たりとも切っていない。

 14年9月に稼働を開始した千葉香取工場は、翌年10月に「食の完璧な安全」を保証するための国際衛生基準「HACCP」の認証を取得した。魚介類加工業よりワンランク厳しい衛生管理基準が必要な惣菜加工業のライセンスも所有している同社は、16年にイスラム教の戒律に則って調理・製造されたことを証明する「ハラル認証」も取得し、全世界への輸出に必要な国際基準のライセンスをすでに網羅。ベトナムからの技能実習生を積極的に採用し、人材確保においてもグローバル化を推進している。

パワースポットの千葉香取工場

「食品に携わる者の責任」と、徹底的に新型コロナウイルス感染予防への対策と意識向上を促す岡社長。急速な円安に対応すべく国内の新たな仕入先の開拓にもアグレッシブに取り組む姿は、サミュエル・ウルマンの詩「青春」そのものだ。

人生と重ねる50年
全員が経営者意識を

 創業からの50年を「長いようで短い、あっという間の月日だった」と振り返る岡社長。今後自身が果たすべき役割は次代を背負う社員の育成だと考える。
「人生いろいろ。私個人の人生と会社の歴史はオーバーラップすることが多く、楽しい思い出も苦しい思い出も様々です。現在当社は業界においてトップ企業と言われるまでになりましたが、組織を引き継ぐことは重要かつ大変なこと。古参の社員だけが頑張っても簡単にできることではありません。次の社長以下、全社員が経営者意識を持たなければ会社を存続させることが難しくなるでしょう」
 と話す岡社長の座右の銘は、ドイツ帝国宰相ビスマルクが残した格言「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」。社員たちには、昨今は「地政学」ともいわれる歴史を学び、「世界の大栄フーズ」を担うための最大限の努力を期待している。

シーフードショーにも積極的に出展

【会社データ】
本社=神奈川県相模原市南区相武台2―5―30
℡=046―266―2200
設立=1973年2月
資本金=5000万円
社員数=190名
売上高=55億円
事業内容=シーフード惣菜の製造・販売
http://www.daieifoods.co.jp

 

サンデー毎日「会社の流儀」 大栄フーズ㈱
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