2022年12月20日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈲にのせ電子
二瀬 武博 社長
古代史文化の象徴的な歴史遺産が数多く残り、「神話の国」として知られる島根県出雲市。有限会社にのせ電子は大社を臨む出雲平野の中心に位置する坂田工業団地に本社を構え、日本のエレクトロニクス産業の進化に貢献しながら設立50周年を迎えた。
「手掛けている製品が幅広い分野で使われていることが当社の強み。特に同業他社が手を伸ばさないような製品を積極的に取り扱ってきたからこそ、お客様の信頼と長い業歴を積み上げられたと思います」 と話すのは、今から100年以上前に開業した酒小売店を受け継いだ後、「若者が立ち向かっていける新しい業界」として電子・電気の世界に飛び込んだ二瀬武博社長。1972年に同社を設立以降は独学で専門知識を学び、大手電気機器メーカー子会社のスイッチの組立作業を始めてから半世紀、「継続は力なり」で〝品質第一〟を貫いてきた。
75年から各種プリント基板の組立加工を担い、音響製品や電話機、ゲーム機、自動車電装品などを生産してきた同社。時代の変化に合わせて製品領域を広げ、近年はノートパソコンやプリンター、電気シェーバー、スマートフォン、LED照明なども手掛けている。
特にプリント基板の実装加工・検査は大手各社を中心とするクライアントからの高い評価を獲得。二瀬社長は、数々の先進設備を導入してきた「機械化」の成功こそが50年間生き残ってきた要因だと分析する。
先進設備の導入で機械化を実現
「円高の進行で海外に拠点を移す企業が増えるなど、この50年で日本のモノづくりは変化してきましたが、『企業は生きもの、変化は宿命』と考え、常に今日より明日が少しでも進歩することを目指しています」 と二瀬社長が話すように、大手各社がグローバルな競争に敗れるなど、プリント基板を取り巻く市場環境は様変わりした。二瀬社長は、経営者が激動の時代に舵を取る上で大切なのは、闇雲に時代の先を想像するのではなく現状から未来を推測することだという。
「時代の変化を認識することから始めなければなりません。これから新しい事業を始めるならハードなものづくりよりも、世界を相手にしたソフトのビジネスに活路がある。まずは土台を作り、ソフトに強みを持つ優良企業と手を組めたら面白いですね」(二瀬社長)
一度も運動部に所属したことがない二瀬社長は45歳の頃、自身の走力を図る目的で「島根マスターズ陸上」に参加し、100㍍を13秒台で駆け抜けた。60歳の時も13秒台を記録しただけでなく、200㍍と400㍍、さらには800㍍の競走にも参加し、歴代記録で上位に名を連ねる。「50周年は道の途中」と話す二瀬社長の疾走にゴールはない。 「前身の酒屋は100年企業として生き残っています。我々も変化に取り残されないように一生懸命、前に進むしかありません」
【会社データ】 本社=島根県出雲市斐川町坂田1664―17 ☎0853―63―2643 設立=1972年2月 資本金=800万円 社員数=65名 事業内容=電気機械器具製造業 https://ninose-denshi.com
㈱光英科学研究所
『注目企業ONLINE』は「サンデー毎日」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目企業の掲載記事をオンライン版として公開しています。