2023年01月04日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
関口電気㈱
小泉 幸文 社長
通勤電車から最新型の新幹線まで、鉄道車両の床下に付いている黒い箱。その中には電源装置や空調制御装置など、車両の安全・快適運行を支える重要な機器が詰まっている。
その箱に収納されている電源やトランス、マイコン関連などを得意としていることから、大手電機メーカからの委託で、鉄道車両用制御装置の設計・製造・試験までワンストップで手掛け、またビル監視制御装置や上下水道監視装置など公共性の高い分野でも絶大な信頼を獲得しているのが、1960年10月設立のエンジニアリング企業、関口電気株式会社だ。
各設計者をワンフロアに配置
現在代表を務めるのは、1983年同社に入社、一貫して鉄道車両関連機器の設計に携わり、エンジニアとしての腕を磨いてきた小泉幸文社長だ。2019年5月、周囲に推される形で56歳の時、代表に就任した小泉社長は、就任4年目の2023年初頭に向けた意気込みを述懐する。
「当社には常に新しいことに挑戦してきた歴史があり、技術者のやりたいことが実現できる土壌があります。幸い、専門性が高く鉄道に特化した技能を持つ社員が育ってきており、若手には将来社長を志す気概で貪欲に取り組んで欲しい。確かな技術を持つベテランから若手への技術承継にも一層注力し、今後も技術と品質への高い意識の下、信頼の伝統を繋いでいきたい」
電灯用電源装置(左)、リーケージトランス(右)
停止することが許されない公共性の高い製品を手掛けている同社だからこそ、その研修体制は丁寧だ。 電気系の出身者でなくても一人前の技術者として活躍できるように、新人研修では設計・製造・試験などの各部署を経験する。全体の流れを把握した後に各部署に配属されOJTが始まるが、設計部門では自ら作成した図面を基に実物を組み上げ、実験で動作を試す機会を設けているという。設計・製造・試験部門の垣根の無い一体感があるからこそ出来る取り組みで、モノづくりの醍醐味を実感できる絶好の研修体制と言えよう。実際に、3年前入社の文系大出身の女性社員は、設計部門の機械設計でCAD技術者として活躍しているという。
20代の若手から70代のベテランまで、各世代がチーム力を発揮して難題に挑戦する同社。目下の課題はベテランの確かな技術を継承する若手社員の充実だ。 「近年はコロナ禍の影響もあって新人採用が思うに任せませんでしたが、今後は中途採用も含めて積極的に採用活動を展開したい。進化した鉄道車両の新規技術分野や、技術を生かした新分野の開拓など、当社の可能性は末広がりです。公共分野の重要な役割を担う当社に是非参加して欲しい」 と小泉社長は技術者候補生の参加を歓迎している。
鉄道車両の重要機器を製造する同社。「鉄道ファン」にとっても魅力的な職場と言えるかも知れない。
左から、本社・四谷事業所、四谷第二工場、美山工場。
【会社データ】 本社=東京都八王子市四谷町1918 ℡042-626-2902 設立=1960年10月 資本金=3000万円 社員数=110名 事業内容=電源装置・変圧器・鉄道車両用制御機器等の設計・製造・保守等 https://www.sekiguchidenki.co.jp
㈱光英科学研究所
『注目企業ONLINE』は「サンデー毎日」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目企業の掲載記事をオンライン版として公開しています。