2023年01月04日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
ローランド ディ―.ジー.㈱
田部 耕平 社長
ローランドといえば、電子楽器の分野で「MC-8」、「TR‐808」をはじめとした先進的な製品を次々と世に送り出し、世界の音楽シーンに大きな革命をもたらしたメーカーだ。
ローランドのスピンオフ事業として1981年に設立したローランドディー.ジー.株式会社は当初、楽譜のデジタル化に伴う縦横(XY軸)の動きを制御する技術の開発に携わり、やがて楽器とは全く異なる分野である製図業界に参入。縦横に高さが加わるXYZ軸の新たな位置制御技術をベースに、デジタル化の需要に呼応する形で市場を広い分野へと切り拓きながら、時代と共に様々な分野で売上的な「山」を築いた。
90年代以降は業務用大型インクジェットプリンターの製造を主力に躍進し、2002年に東証一部上場。10年には歯科医療の分野で、歯の詰め物など補綴物を製造するデンタル事業を立ち上げ、新たな「山」を築いた。その中心人物だったのが20年、43歳にして就任した田部耕平社長だ。
「デジタルの力でいかに世の中を便利にできるか、今ないゼロのものをどうやって1にするかという意識は、当社のDNAみたいなものとして皆が持っています」 と田部社長が話すように、同社には先々代社長(冨岡昌弘氏)が口癖のように言っていたという「やったらええやん」の開拓精神が今も随所で息づいている。
「プリンター事業の大きな『山』は、私たちにとって強みであり弱みでもある。一つの市場に甘んじることなく、挑戦し続けていくことが会社の未来に繋がっていく。そこへ一歩踏み出せる人間を会社の中で輩出していきたい」(田部社長)
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「今の時代、会社は従業員から選ばれる場所にならないと残ってもらえないと言われる中で、私たちの職場を『自ら働きたい環境』にしていきたいという思いが自分の中で強く芽生えた」 と話す田部社長。同社はオンライン学習サービス「Udemy」を全社導入し、自らが取得したい資格や技能を学ぶべく受講できる制度を設け、受講希望者のスキルアップやリカレント教育を支援している。新たな資格を取得する若手社員がいる一方、ベテラン層も大いに刺激を受け、好ましい波及を見せているようだ。 あくまで強制ではなく、各々が目指す選択を尊重している点が今風で、会社にいながら夢に向かってスキルを習得でき、かつ給料やボーナスがもらえてとなると、上を目指す社員にとっては魅力的な制度だろう。
「挑戦し続けること。そのための環境整備や、文化・風土の醸成に力を入れてきました。ここから次なる経営者が生まれてくることが楽しみで、それは自分が社長をやっていく証でもあると感じています」(田部社長)
2023年7月末竣工予定でNearly ZEB認証の本社新棟を建設中
【会社データ】 本社=静岡県浜松市北区新都田1-6-4 ☎=053-484-1200 創業=1981年5月 資本金=36億6800万円 (東証プライム上場 証券コード:6789) 従業員数=1142名(連結) 売上高=450億9500万円(連結) 事業内容=コンピュータ周辺機器の製造・販売 https://www.rolanddg.com
㈱光英科学研究所
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