2023年02月21日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈱村野商店
村野 太郎 社長
新型コロナウィルスの脅威によって、いつの時代も語らいの場や癒しの時間を演出してきた日本の酒文化がときに悪者扱いされた。若者の飲酒離れも相まって国内の酒類販売市場が縮小傾向を続ける中、東京・府中市の株式会社村野商店は地域の小売店をサポートしながら、お酒のある心豊かな暮らしを取り戻そうと奮闘している。 「地域密着の地場問屋として地道な仕事を続けてきたことが生き残ってきた要因。一緒に成長してきた地元の酒屋を応援し、酒類業界を元気にしたいですね」 と話す村野太郎社長。江戸時代から酒類販売業を営み、1930年に法人化してから業歴100年に迫る地域からの信頼を、3代目として守り続けている。
1945年に日本酒類販売㈱(以下、日酒販)の設立に参画し、現在も多磨支店を担う同社。多摩東部地区を中心に、大手コンビニエンスストアをはじめ約550軒の小売店に全国有名銘柄の酒類を提供するなど都下屈指の実績を誇る同社は、出資企業の中でも貴重な独立系として大きな存在感を放っている。 業界全体で販売拠点の都内集約化が進む中、同社は配送統合など日酒販の物流網を活用することで地元を離れることなく、企業理念の「お客様第一主義」を体現。村野社長は就任当初から経営方針の文書化に取り組み、社員のモチベーションアップに繋げてきた。
同社が作成した「適正飲酒」ポスター
また、「営業が〝ここにいる〟ことが一番大きな強み」と分析する村野社長は、さらに〝地域密着〟の強化を図るため、「お客様第一主義」の担い手となる若手人材の採用にも意欲的だ。
「効率化とは真逆かもしれませんが、お得意様と仲良くなり、長くお付き合いすることが私たちの営業スタイル。挨拶ができ、コミュニケーションが取れれば専門知識は入社してから身につけられます。若い意識とお客様目線で動ける人が育てば、もっと当社の特徴を出せると思います」 と語る村野社長は「地元の酒屋を元気にするきっかけになれば」と考え、コロナ禍前にビールの原料を使ったノンアルコールのおつまみ「東京焼きビール」(現在販売休止中)を開発。アフターコロナを見据え、改めて正しい飲酒習慣を啓発する「Let‘s 適正飲酒」のポスターを自社で作成するなど、飲食業界の健全な発展に貢献している。
さらに、酒類販売免許の取得や売り場づくり、イベント出店などもサポートしている同社。村野社長は100年企業を視界にとらえた今、将来の展望を語る。 「お客様が儲かってこそ当社も収益が上がる。数字で表すのは難しいのですが、『村野じゃなきゃ』と頼られる〝地域ナンバーワン〟の酒類問屋を目指すとともに、お客様のご商売をいかにお手伝いするかを考えていく必要があります」
【会社データ】 本社=東京都府中市白糸台1―1―6 ☎042―363―2222 創業=1930年12月 資本金=2000万円 従業員数=19名 売上高=19億4600万円 事業内容=酒類・食品問屋 https://www.muranoshouten.com
㈱光英科学研究所
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