2023年03月20日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈱セア・プラス
坂本 歩 社長
海洋を中心に測量サービスを手掛け、今年で設立40周年を迎えた株式会社セア・プラス。類まれな技術と豊富な経験値を生かして精度の高いデータを提供し、大手マリコンや官公庁・自治体などクライアントの期待に応えてきた。
「確かな技術力とISMSの取得など万全な情報資産管理が評価され、様々な大手企業様からご依頼を頂いてきました。安全第一を徹底した上で常に新しい技術を求め、勉強しています。まだまだ海底には未知の世界が広がっていますよ」 と坂本歩社長。大手水産加工品メーカーでトロール漁船の漁労長を務めていた父の背中を見て育った環境から海に関心を抱き、東海大学で海洋学を学んだ。
近年、目覚ましい進化を遂げている計測技術において陸上のドローンや3Dレーザー、海での「AUV」(自律型無人潜水機)や「ROV」(遠隔操作型無人調査機)といった先端機器も次々と活用され、3次元計測が主流だ。中でも現在業界のトレンドとなっているのが、扇状の音波で3次元的に海底や湖底を精密に音響測深する「マルチビーム音響測深機」。業界トップクラスの台数を保有する同社は、この機器を搭載しながら無人で走行できる「自律型小型電動無人観測艇」も大手音響メーカーと共同開発。測量の自動化と、さらなる精度向上も伴う省力化・省人化を意識した事業基盤は一層強固になった。
自律型小型電動無人観測艇「BREEZE10」
また、創業以来、「社会貢献」という使命と信念を貫く同社。東日本大震災の復興支援では大量の瓦礫が海に流れ込む中で支援船が安全に港に入れるか、港の安全状況を確認する作業などに携わった。阪神淡路大震災でも調査・測量を行った経験を持つ坂本社長は、先代が発案した東北支社の立ち上げに真っ先に手を挙げ、支社長として赴任した。
「分断された道路も多く、1時間で着くはずの現場まで3、4時間かかりました。それでも社内一丸で取り組み、少しは社会貢献できたと思います」(坂本社長) 培ってきた地形・地質・海底面状況調査を武器として、洋上風力発電関連の調査やメンテナンスなど将来の需要が見込まれる中で全国展開を視野に入れている同社。技術や機器、ITの急速な進化に対応するため、力を入れているのが次の時代を担う若手社員の採用と育成、そしてボトムアップの組織作りだ。
「私のアンテナだけでは限界があります。これからは若い人の力が必要。常に向上心を持ち、どんどん意見を上げて欲しいですね」(坂本社長) 現場要員としての新卒採用も行う同社は性別や学歴に係らず、コミュニケーション能力を重視し、「海が好き」な人材を募集中。4月から「iDeCo+」の採用で中小事業主掛金も拠出するなど福利厚生にも力を注ぎ、今年入社する新卒も含めた女性だけの技術チームも発足するという。
常に「社会貢献」を目指す社員たち
【会社データ】 本社=神奈川県横浜市緑区十日市場町822―10 ☎045―983―2227 設立=1983年10月 資本金=2500万円 従業員数=30名 事業内容=水路・深浅・維持管理測量、災害復旧調査、海洋環境調査、陸上測量、沿岸海洋調査、危険物探査 https://www.seap.jp
㈱セア・プラス/坂本 歩 社長
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