2023年03月28日
週刊朝日「Challenge 2023」掲載
㈱グリーン・シップ
田中 明子 社長
商品やサービスを購入して支払いをうっかり忘れていると、自動音声による督促電話がかかってきた経験をお持ちの方も多いだろう。作られた声だけあって事務的な響きである。 これらはオートコール(自動架電)といって、あらかじめ録音した音声を指定した電話番号リストに、一斉自動発信できるシステムだ。 冷たい印象のオートコールだが、株式会社グリーン・シップの田中明子社長によれば、使い方次第で思いやりのこもった、温かみのあるコールに一変するという。
「肉声を録音したメッセージであれば、ご本人からいただいたような気分になり、受け手を笑顔にすることもできます。用途に応じて使い分けることが大事です」 同社が受託するシニアサービス会社では、加盟するフランチャイズ店で初めて利用したお客様に、本部の社長の声でお礼の電話が届く。これがヒューマンな温かみを感じるということで大好評だ。 本人の声によるオートコールは総裁選、国政選挙はもちろん、地方選挙でも大活躍しているという。 同社は日本屈指の電話回線数を誇り、その気になれば一日に一千万件の架電が可能というから驚く。これを駆使しての、メディアからの依頼で実施する各種調査には定評がある。取得審査が厳格な0120で発信し、受け手側に安心感を与える配慮も忘れない。
商品・サービスの告知はもちろん、料金・家賃の滞納督促でも実績を積んでいる。合成音声によるガイダンスで本人確認後、収納日回答を受け付け、SMSで振込先と金額を知らせる。 債権回収は顧客情報の関係から、企業にプログラムごと提供。かける日時、呼び出し時間、リトライ回数とその間隔、回線数といった設定をパソコンで自らやってもらう。操作は至って簡単だ。 架電だけでなく受信も可能で、高齢者向けコロナワクチン接種の自動予約サービスも受託した。「電話がつながらないクレームが激減して、多くの自治体から感謝されました。今後は避難指示の発信を提案してみたい」と田中社長は言う。 地域ごとの人流を捉え、競合相手やその影響度合いを割り出すロボット経営企画室など、同社のサービスは優れものが目白押しだ。
同社の入る生まれ変わった九段会館テラス
様々な要望に応え、その都度忠実に実現してきたのが同社の歴史だった。若き日に、客室乗務員をめざして学んでいた田中社長。お客様ファーストの姿勢は昔も今も変わらない。 自分が諦めなかったら、できないことはない。社会人の第一歩を踏み出した㈱リクルートで学んだことだ。 「受け手を笑顔にさせるオートコール普及に全力投球し、社会インフラのスタンダードモデルを目指します」 田中社長は本気だ。
瀟洒なオフィスで今日もアイデアが生まれる
【会社データ】 本社=東京都千代田区九段南1-6-5 九段会館テラスClassic Office4E ☎=03-6869-7040 設立=2008年11月 事業内容=ロボットコールセンターによる各種サービス https://www.green-ship.co.jp
㈱グリーン・シップ/田中 明子 社長/『注目企業オンライン』は、各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。
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