2019年12月24日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
大栄フーズ
岡 康人 社長
水産原料を使った惣菜メーカーとして世界でも名高い大栄フーズ株式会社。他社に先駆けて惣菜としての量産化に成功し、同社の代表的商品である「中華くらげ」は現在、国内トップクラスといえる約40㌫のシェアを誇っている。 「『くらげ』を惣菜として提供するために中華風の味付けを考案し、地方の有力スーパーで商品を説明することから始めました」 と話す岡康人社長。日本人が好むアレンジを加えて商品化された「中華くらげ」は全国の催事場への出店で瞬く間に大ヒットし、一店舗で一日300㌕という驚異的な販売量を連日記録したこともあったという。
また、2008年に「モンドセレクション」一般食品部門金賞も受賞した「中華くらげ」だけでなく、11年に同賞のダブル受賞という快挙を達成した「とびっ子」は約60㌫のシェアを誇る国内だけでなく、海外でもヒットを続けている。 「中華くらげ」「とびっ子」を軸に200種類以上の商品を揃える同社は原料の98㌫を海外から輸入し、ニッチな食材を原地から新鮮な状態で確保できる仕入れルートが強み。商品の品質・衛生管理も万全を期し、相模原工場と5年前から稼働する千葉香取工場の2つの製造拠点の全てがHACCP認証を取得している。
また、16年にはイスラム教の戒律に則って調理・製造したことを証明する「ハラル認証」も取得するなど、全世界への輸出に必要なライセンスを網羅している同社。「日本の食文化を世界へ」という強い志で業界をリードする同社だが、8年前には東日本大震災による原発事故の影響を受け、それまで主力工場として稼働していた4000坪の東北工場が立入禁止となったことで最大の危機に直面した。
しかし、「何事も諦めたら終わり」「継続は力なり」という言葉に突き動かされて会社の存続を決断した岡社長は2年半後、東北工場の約2倍の敷地面積を持つ千葉香取工場を竣工。活力になったのは「歴史に学ぶ経営」だ。新工場を建てた場所は、かつてソニーが「ウォークマン」を開発したパワースポット。周囲に植えられていた木は、現在まで1本も切っていないという。
また、地理的な環境が経済に影響をもたらす「地政学」も重視する岡社長はイスラム教圏の市場にも注目し、ベトナムから技能実習生を積極的に採用するなど、人材確保のグローバル化も推進。新卒採用を30年来継続する同社は週1回の語学研修も導入し、世界で勝てる人材を育成する。 「20代で独立し、日本食の魅力を世界に広めるために勝負してきました。40年以上前から世界進出している当社は、国内より海外での知名度の方が高い。世界を相手に商品を売ってみたいという人材を求めています」 世界で輝きたい人は是非、電話やホームページで問い合わせて欲しい。
【会社データ】 本社=神奈川県相模原市南区相武台2―5―30 ☎=046―266―2200 設立=1973年2月 資本金=5000万円 従業員数=190名 売上高=40億円 事業内容=シーフード惣菜の製造・販売 http://www.daieifoods.co.jp
『注目企業オンライン』は各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。
『注目企業ONLINE』は「サンデー毎日」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目企業の掲載記事をオンライン版として公開しています。