枝堀園/朝倉 雄馬 常務

2021年01月26日

サンデー毎日「会社の流儀」掲載

吉本芸人から常務になった男の経営改革
大好きな川口を「本当に住みやすい街」に

枝堀園

朝倉 雄馬 常務

かつてキューポラの街で知られた川口市が、「本当に住みやすい街大賞」で2年連続の第1位を手にした。市の公共施設や道路の整備、樹木伐採などで住環境、交通の利便性のアップを図り、ナンバーワン獲得に一役買っているのが朝倉勇社長、朝倉雄馬常務率いる株式会社枝堀園だ。
 400年以上の歴史を持つ植木の街・川口で、朝倉常務の祖父と父が起業してから今年で42年になる。現社長は叔父で、実質的な経営は常務が担う。

この朝倉常務、異色の経歴を持つ。入社して14年がたつが、前職はなんと吉本芸人だ。現役時代のコンビ名は「子宝」。佐渡島お笑い親善大使を務めたりしたが、2人目の子宝を授かった時に引退を決めた。
入社当時、会社の請け負う仕事は不安定だった。それならば仕事を掘り起こしてやろうと、今まで見過ごされてきた分野でのニーズを徹底的に調べ上げたという。下請けの受け身姿勢を改め、自社で仕事を確保し発注する会社をめざした。

道路標識や街灯を覆い隠す樹木の写真を持って、市の担当部署を訪ねて行った。報告という形にしてそれをこまめに繰り返した。今でも市内の公園や道路に植えてある樹木の種類、その状態を常にチェックしデータベース化している。
「市内に小中学校が78校ありますが、どこにどんな木があるか全て頭の中に入っています」(朝倉常務)。これには相談にやって来た市の担当者も舌を巻く。

この業界に飛び込んだ時、木のことをしっかり勉強して、カウンセラー的な造園事業者になろうと思った。依頼を受けてもむやみに切るようなことはせず、剪定で木への悪影響が出そうな場合はそれを説明した上で、了解が得られれば作業に取り掛かることにしている。
常務が始めたこれらの取り組みにより、会社の売り上げは間もなく倍以上になっていった。昨年亡くなった父にも親孝行ができた。

我がふるさと川口を
3度目の№1に

来年も王座を獲得したい川口市。奥ノ木市長も「3年連続となれる住みやすい川口にしていこう。」と思いをよせる。朝倉常務は新年の挨拶に伺った際、「住環境、交通の利便性をさらに伸ばしてカバーすればⅤ3は夢ではない」とし、自然豊かな公園数の増加や道路拡張などを提案。また近年の都市型集中豪雨による水害対策としてグリーンインフラによる対策を提案している。全て自分の仕事になるわけではない。そこにあるのは「川口をより良い街にしたい」という思いだ。

川口のために共に汗を流してくれる人と、仕事をしたいという。郷土愛は誰よりも強い。小学校のPTA会長、消防団や町会等の活動にも積極的に取り組み、地元に貢献してきた。それがまた、自ずと仕事に活かされているのを感じる。

漫才師をやめた時、それを惜しむ元芸人仲間のブログが残っている。
「いつも皆の中心にいた」と。38歳の今も会社の、地域の、そして大好きな川口の中心で、朝倉雄馬は仕事を続けている。


【会社データ】
本社=埼玉県川口市戸塚南3‐15‐37
☎=048-295-1439
設立=1979年8月
事業内容=造園・土木事業
http://www.edaborien.co.jp

 

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