大栄フーズ/岡 康人

2021年04月13日

読売新聞 夕刊「Challenge Company」掲載

シーフーズ惣菜のグローバルブランド
ニッチ食材で日本の食卓と世界を魅了!

大栄フーズ

岡 康人 社長

 ユネスコ無形文化遺産に登録されるなど、いまや世界中から高い評価を受ける日本食。その魅力を発信すべく半世紀近く前から海外に進出し、ニッチな食材を使った惣菜の開発によって「シーフーズ惣菜」という新たな市場を開拓したのが大栄フーズ株式会社だ。
「当時高級料理として世界を席巻していたフレンチやイタリアンと同じく、アジアの『帝国料理』である日本食も必ず支持されるはず。あまり知られていない食材でも、食卓に乗れば思わず食べたくなるような商品を作ればシェアを獲得できると確信していました」
 と話す岡康人社長は創業当初から世界中を飛び回り、長い時間をかけて現地の仕入先との関係を構築。現在は原料の98㌫を海外から輸入しており、より安く、新鮮な状態で食材を確保できることも同社の強みだ。

 独自の仕入れルートを活かし、各国の味覚に合わせた寿司種や珍味、サラダ、練物など200種類以上の商品を揃える中でも、同社の代名詞ともいえるのが、他社に先駆けて惣菜としての量産化に成功した「中華くらげ」。まだ日本の食卓に「惣菜」が身近ではなく、「くらげ」が食材であることすら知らない消費者も多かった当時、岡社長は東京のメジャーなスーパーをくまなく回り、食べ方を教えることから始めたという。

 そして、横浜の中華街で高級アイテムとして販売されていた「くらげ」を‶誰でも気軽に食べられるように〟と考えついたのが中華風の味付けだ。日本人好みのアレンジを施し、「横浜中華街の味」として商品化した「中華くらげ」は、全国の催事場への出店で瞬く間に大ヒット。一店舗で一日300㌕という驚異的な販売量を連日記録したこともあったという。美味しさと品質の高さが高く評価され、2008年には「モンドセレクション」の一般食品部門で金賞を受賞した。
 また、11年に「中華くらげ」と同賞のダブル受賞という快挙を達成したのが、トビウオの魚卵を塩漬けした「とびっ子」。今では寿司種としても人気が高い「とびっ子」は日本より先に海外でヒットし、その後日本に逆輸入された商品だ。

「地政学」で先を読む
業界パイオニアの矜持

 岡社長が最初から、日本だけではなく海外市場を目指した背景には、常に「歴史」を軸に経営判断を下し、その土地の歴史と地理的環境が経済に影響を与える「地政学」の視点から未来を読み解く独自の経営哲学がある。ドイツ帝国の初代宰相ビスマルクの格言「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」が座右の銘だ。

10年前に東日本大震災による原発事故の影響を受け、長らく主力工場として稼働していた4000坪の東北工場が立入禁止になった際、「継続は力なり」という信条に突き動かされて会社の存続を決断した岡社長は、2年半という異例の速さで東北工場の約2倍もの敷地面積を持つ千葉香取工場を竣工。その新工場を建てた場所こそ、かつてソニーが「ウォークマン」を開発し、世界に羽ばたいた場所だった。「オーナーが人生をかけて事業を興した場所は強運を呼び込むパワースポット」と信じる岡社長は、当時から工場の周囲に植えられていた木を1本たりとも切っていないという。

 また、「日本の食文化を世界へ」という強い志を貫く同社は安全衛生管理でも一切の妥協を許さず、魚介類加工業よりワンランク厳しい衛生管理基準が求められる惣菜加工業のライセンスも取得。千葉香取工場と相模原工場の2つの製造拠点が共に北米・EU諸国向けの「HACCP認証」を受け、徹底した衛生管理システムを構築している。

 16年にはイスラム教の戒律に則って調理・製造されたことを証明する「ハラル認証」も取得し、全世界への輸出に必要な国際基準のライセンスをすでに網羅している同社は、ベトナムからの技能実習生を積極的に採用。人材確保のグローバル化も推進している。

 インターネットが登場する遥か前から全ての工場をテレビで繋いで会議や社員教育に活用するなど、常に斬新な発想と「直ぐやる、今やる、出来るまでやる」の信念で不可能を可能にしてきた同社。これまでも帆立のヒモやワカメの茎など、それまで捨てられてしまっていたニッチな食材をアイデアと努力によってヒット商品に変身させてきた。

 日本ではまだ馴染みが浅い「ソフトシェルクラブ」(脱皮した蟹)の輸入にも挑戦し、大型ドラッグストアへの新たな販路開拓にも関心を寄せる岡社長。「美味創出」を志す惣菜業界のトップランナーとして、「食品に携わる者として責任感を持ち、より一層強い対策が必要」と、徹底的な新型コロナウイルスへの感染予防対策と社員一人ひとりの意識向上を促している。

【会社データ】
本社=神奈川県相模原市南区相武台2―5―30
℡=046―266―2200
設立=1973年2月
資本金=5000万円
社員数=190名
売上高=40億円
事業内容=シーフード惣菜の製造・販売
http://www.daieifoods.co.jp

 

『注目企業ONLINE』は各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。

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