ケイアイフーズ「焼きにく さが壱」/木須 良一 社長

2021年06月22日

サンデー毎日「会社の流儀」掲載

食肉50年のプロが仕切る焼き肉店
銘柄和牛が2580円で食べ放題⁉

ケイアイフーズ「焼きにく さが壱」

木須 良一 社長

 伊万里牛、仙台牛、鹿児島黒牛、宮崎牛、佐賀牛、つくば美豚――肉好きには字づらを追っただけで垂涎ものだが、そんな銘柄和牛・豚を安価な料金でがっつり食べられる焼き肉店が、東京の板橋区にあった。店の名は「焼きにく さが壱」。

 なんと銘柄肉なのに、2580円(税別)からの食べ放題コースまであるという。料金を聞いて、一体どんな肉なんだと不安になるが、インターネットの口コミを見ると、これが意外にも「食べ放題でこの霜降りのカルビを食べれる所を私は知りません」「上質な肉を食べ放題で頂ける!幸せ過ぎます‼」などなど、好評のコメントが寄せられているではないか。

 店の経営者、木須良一氏を訪ねてその謎が解けた。同氏は食肉卸売会社、株式会社ケイアイフーズの社長で、この道50年の食肉のプロ。「肉に触れ、お客さんと触れあうことが、遊びと同じくらい楽しくてたまらない」と言ってのける筋金入りだ。木須社長は言う。

「生産者から一頭買いした枝肉を加工・熟成・販売まで一貫して自社内でやります。肉のきめ細かさ、霜降りの度合い、肉色と光沢、肉の弾力、資質など、徹底したこだわりで厳しく評価し、販売しています」
その目利きが選んだ銘柄肉を、地域の人々に食べてほしくてオープンしたのが「焼きにく さが壱」の高島平、下赤塚の2店舗だった。驚きの低料金も、食肉卸問屋ならではの卸値価格にその秘密があったのだ。

伊万里牛を
全国ブランドにしたい

 お薦めは何かと尋ねると、木須社長は間髪入れず「食べくらべコース」を挙げた。伊万里牛を中心とした特選黒毛和牛のカルビ、ロースを食べくらべてもらうというものだ。

 そもそも木須社長が四半世紀勤めあげた、一部上場の大手食肉会社を辞し起業した動機の一つが、故郷佐賀の伊万里牛を全国ブランドにしたかったから。地元で食肉農業を営む親類縁者をたどって、自ら流通ルートを開拓した。
「部外者は一切立ち入り禁止。ストレスを与えぬよう物音も遮断。そんな環境下で音楽を聴かせたりして、大事に大事に育てられた牛たちです」(木須社長)

「焼きにく さが壱」では今、新型コロナウイルス対策として店内にパーテーションを設置し、簡易個室でお客さんを迎えている。
「和牛肉だけでなく元気なスタッフの笑顔が、皆さんのお越しをお待ちしています。是非楽しいひと時をお過ごしください」(木須社長)
 木須社長の笑顔に、これはもう行くしかないという気になった。

【会社データ】
本社=東京都板橋区三園1-45-11
☎=03-5998-4978
設立=2002年5月
事業内容=食肉卸売、飲食業経営
「焼きにく さが壱」
高島平店=東京都板橋区高島平7-14-15
☎=03-5998-5759
下赤塚店=東京都板橋区赤塚1-10-4コーポ川口
☎=03-6909-2789
https://kisfoods.jp

 

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