光電製作所/荒田 慎太郎 社長

2021年06月29日

サンデー毎日「会社の流儀」掲載

センシング・情報信号処理技術で扉を開く
マリンエレクトロニクスの世界的ブランド

光電製作所

荒田 慎太郎 社長

 海軍技術研究所の優れた電子技術を生かして社会に貢献することを目指し、1947年に創業した株式会社光電製作所。戦後の食糧難に直面していた日本の漁獲量増大と航海の安全を実現するため、無線方位測定機を皮切りとする独創的な製品で近代漁業の発展に貢献してきた。
 その後、積極的に革新的な技術を取り入れてきた同社はレーダーや魚群探知機、ソナー、GPSなど様々なジャンルで日本のみならず、世界でも「初」の製品を次々と開発。科学計算用コンピュータを他社に先駆けて開発するなど、日本のコンピュータ史にも名を残す。

「測位測距測深技術」(波動によるセンシング技術)と「情報信号処理技術」を合わせて「SWAT」と名付けたコア技術は世界的シェアを誇るマリンエレクトロニクス製品だけにとどまらず、通信や建設の分野でも活躍。超音波を使い、基礎工事で掘削する穴の状態を測る「側壁測定装置(ドリリングモニター)」は30年以上前から大手ゼネコン各社の支持を集め、国内シェアは100㌫を誇っている。

「マリンエレクトロニクス製品」「通信ネットワーク製品」「産業エレクトロニクス製品」という3つの柱で顧客にとってコストパフォーマンスが高い、長持ちする製品を供給することが同社のものづくり。荒田慎太郎社長は、生産拠点である上野原事業所(山梨県)を改革し、「技術のコーデン」のさらなる進化を促進する。
「協力会社にお願いすれば、当社の設計が悪くても上手に作って頂けます。しかし、それでは気づきや改善に繋がりません。もう一度自分たちで作る。改めて生産に真剣に取り組みたいと考えています」(荒田社長)

自動航行システムを提案
「はやぶさ2」帰還に貢献

 また、技術開発への投資を惜しまない同社は、第一線の研究者や社員のレポートをまとめた「光電技報」を年1回発行するなど、先端技術の研究をリード。荒田社長はKODENホールディングス傘下のグループ会社と力を合わせ、自動航行など船舶物流を進化させる独自のシステムを造船会社に提案したいと考える。
「私たちの仕事は常に社会インフラの近くにあり、技術で下支えしています。『餅屋は餅屋』という専門性が高いところに居場所があり、さらに進化できるはず。安定したシェアを持つ欧米の市場にもっと良い製品を提案するとともに、アフリカをはじめとする発展途上国に新たな市場を見出せると思います」(荒田社長)

2020年末、コロナ禍で疲弊する世界に勇気を与えた小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還。この国家プロジェクトにカプセル回収班として参加し、カプセルと探知と落下位置の特定に貢献した同社は、性別や学歴、配属部署による格差がない一律賃金制を導入し、「仕事だけで評価する」という新卒採用の市場でも大きな注目を集めている。

本社=東京都大田区多摩川2―13―24
☎=03―3756―6501
設立=1947年10月
資本金=1億円
従業員数=約200名
売上高=42億578万円
事業内容=船舶用・産業用電子機器・情報システム機器等の開発・製造・販売
http://www.koden-electronics.co.jp

 

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