三辰精工/本間 雅剛 社長

2021年06月29日

サンデー毎日「会社の流儀」掲載

新化する水処理装置のエキスパート集団
教育とルール化でニューノーマルを構築

三辰精工

本間 雅剛 社長

 上下水道向け水処理装置の専門会社として、私たちの安全安心な暮らしと環境インフラを支える三辰精工株式会社。1964年の創立から半世紀以上にわたって水処理と共に歩み続けてきた同社は今、変革の時を迎えている。
「私たちが手掛ける装置は大型で特殊。誰でも扱えるわけではありません。技術力によって水処理というニッチな業界で存在意義を高め、無理せずコツコツと堅実経営を続けてきました」
 と話す本間雅剛社長は、先代の急逝を受けて今年2月に就任した3代目。創業者イズムを継承しながら、「新しいことも思考していきたい」と意気込みを語る。

 より高度な技術力が必要なし尿処理施設から始まった同社の事業は、約30年前に下水処理・上水処理施設へとシフト。沈砂池・沈殿池機械や曝気槽機械、汚泥処理装置、脱臭装置など多彩な製品を供給している。

 特に、遠心分離機メーカーとして優れた技術力を育んできた同社は自社工場を持ち、装置・施設の設計から部品の加工、装置の組立、据付工事まで一気通貫体制で担えることが強み。数多くの公共事業に元請として携わり、自治体の水道局をはじめとするクライアントの信頼を醸成してきた。

「高速回転機器の技術を絶やさず後世に伝えることが私の使命。元請を担っている責任感を持ち、安全衛生管理にも力を入れています」
 と話す本間社長。社員はもちろん、高いプロ意識を持つ協力会社が妥協せずに仕事ができる環境を整え、「現場の意見も聞きたい」とさらなる連携を進める。

オーナー企業から脱却
人と技術を未来へ残す

 また、平均年齢48歳の社内に新しい風を入れるため、今年から新卒採用をスタートした本間社長。創業家ではない自身が社長に就任したことを機に〝オーナー会社〟から脱却を図り、大胆な改革を推し進めている。
「これまで社内の整備や教育に投資してこなかった綻びが出始めているように感じています。一人ひとりが意識を変えなければ、お金には換算できない信用・信頼が目減りする。せっかく大きな器があるのだから、もっと中身を良くしないといけません」(本間社長)

 正しい身だしなみや整理整頓の徹底から始まった改革は徐々にハードルを上げていく。明確なルールや評価制度を作ることで社員一人ひとりのモラルやモチベーションの向上を図る本間社長が信条とするのは「会社は人」。自ら考え、行動する人材の採用と教育に全力を挙げていく方針だ。
「より早く、より良く仕事を進めるための方法を提案してくれるような人を育てたいですね。社員一人ひとりがどうすれば会社にロイヤリティーを与えられるかを考え、経営陣がそれに見合った報酬で応える。次世代に継承する『ニューノーマル』を作り上げます」
 と話す本間社長は、新化の先を見据えている。

【会社データ】
本社=東京都江戸川区船堀4―12―10
☎=03―3680―2501
設立=1964年10月
資本金=2000万円
社員数=17名
売上高=10億400万円
事業内容=下水処理施設・浄水処理施設のプラント及び機械・設備の設計など
https://sanshin-seiko.co.jp

 

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