2021年08月24日
週刊朝日「Challenge 2021」掲載
ケーディーアイコンズ
横山 茂樹 社長
変異を繰り返す新型コロナウイルスとの闘いは、まだまだ続く様相を呈している。 感染症制御において、感染症微生物の有無の迅速な判定が重要な要素となるが、現状では、患者検体をグラム染色した微生物画像を、熟練した検査技師が目視で判定する作業が最速だと言われている。
肺炎桿菌・連鎖球菌のグラム染色画像
2009年4月設立のケーディーアイコンズ株式会社が開発した「感染症微生物画像のAI解析システム」は、この作業をAI技術で自動化するもので、検体採取後30分以内に熟練検査技師に匹敵する迅速・高精度での判定を可能にするシステム。この開発事業は、年々高齢化する熟練者不足の解消や検査要員の育成に資する開発として、東京都中小企業振興公社の平成28年度・次世代イノベーション創出プロジェクト助成事業に採択された公益事業でもある。
共同研究者には、同社の横山茂樹社長の他、九州工業大学大学院・平田耕一教授、インフェクションアドバイザー・松岡喜美子氏、東邦大学医学部・舘田一博教授、東北大学医学部・賀来満夫名誉教授の錚々たる顔ぶれが名を連ねる。 というのも横山社長自身、九州工業大学電子工学科卒業、東北大学大学院工学研究科修了後、一貫して医療と情報システムを結び付ける研究・開発に従事。その過程で、感染症対策の権威や微生物研究のオーソリティなどとの出会いを重ね、助言を受けて自社の主力製品「ICONS21」シリーズの成長に繋げてきた着実な歴史があるからだ。
「ICONS21」シリーズとは、医療施設全体をネットワークで繋ぎ、施設全体の院内感染リスクマネジメントに貢献するシステム群。細菌検査システムの他、施設内で繋がる各種システムとの連携で、感染制御情報をリアルタイムで施設管理者に提供する。 さらに大量のデータから感染制御に役立つ情報を見出すためのサーベイランス機能や疫学統計機能、データマイニング機能を有し、院内感染等の迅速な把握、感染対策支援に寄与する総合的感染制御情報システムである。
開発主体である同社のスタッフはコロナ禍が続く今、このシステムを始めとする感染制御情報システム「ICONS21」シリーズの的確な運用を通じて、昼夜分かたず医療従事者を裏方でサポートするために、東奔西走している。 医療従事者と患者、そして情報システム開発スタッフが三位一体となった「命」を守るサービスの提供を志して同社を設立した横山社長は、 「命と命の響き合いで命を守る『命のネットワーク』を今後も紡いでいきたい」 と、使命感を語る。
[会社データ] 本社=東京都大田区大森南4-6-15テクノFRONT森ケ崎304号室 ℡03-6423-9681 設立=2009年4月 資本金=880万円 事業内容=感染制御情報システム「ICONS21」シリーズの開発・販売等 https://www.kd-icons.co.jp
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