2022年05月24日
週刊朝日「Challenge 2022」掲載
㈱五洋ロジテック
井上 明 社長
どんなにすばらしい商品でも、消費者のもとに届かないことにはその価値を発揮しない。必要なものが、必要な時に、必要なだけ届く。物流なくして私たちの生活は成り立たない。 世界を取り巻く5つの大海洋を社名に冠し、小型車から運送業をスタートさせた株式会社五洋ロジテック。今なお発展し続ける中で、創立70周年を迎えた。
中でもこの15年間は、埼玉県の浦和と加須の両事業部で保管、輸送を確実にこなしながら、顧客からのニーズに応える形で流通加工の強化に努め、さらには販売まで手を広げてきた。 教材メーカーの正進社からは、テスト教材の断裁から製本、全国発送までを請け負う。そのために断裁機などをそろえた。教材の販売も勧められ、代理店「ブックス五洋」を立ち上げて、川口市内の小学校で営業活動を展開している。 お菓子を始めとする食品も同様だ。機械をそろえてシュリンク包装、梱包作業などに対応し、販売も手掛ける。
東北道・加須IC目前にある加須物流センターの流通加工ライン
井上明社長が入社したのは今から16年前、35歳の時だ。父であり先代の井上雅男会長からは、一度も後を継いでくれと言われたことはなかった。だから二十代は様々な職業を経験した。東京広尾のタイ料理店で店長を任されたことも。 30歳を前に家業を継ぐことを自ら決め、運送会社の営業職に。5年間の修行を経て入社後は、先ほどの販売業務を提案した。
4年前、47歳で社長に就任したが、社の業績は低迷していた。さっそく改革に乗り出した。運賃等の料金体系を見直すとともに、半分しか埋まってない倉庫は賃貸に回し、保管場所を集約。人の配置換えを断行し、女性役員を登用した。トップダウンの社風を変えるために、現場の声にも耳を傾けた。すると新しい発見、なるほどと唸る場面が何度もあった。今では社員の方から提案してくれるまでに。
間もなく業績は好転し、給与水準は大幅にアップ、決算賞与の連続支給も叶った。コロナ禍においてはそれを逆手にとって、繁忙期の長時間労働もやめた。ところが出荷量は例年とほとんど変わらなかったという。 「失敗から学び成功して成長する」との信念から、「若手育成のためには、事業所を増やしてポストをつくる必要がある」と言う。その一環として、この秋には危険物倉庫が竣工の予定だ。
社員には「お客様に喜ばれるだけでなく、尊敬される会社に」と呼びかける。自らも経済誌を読み、経営セミナー等に足を運び、日々学ぶことを忘れない。この6年間は地元サッカー少年団の指導者として、地域貢献にも汗を流した。 100年企業をめざす。そのために井上社長が、次はどんなシュートを繰り出すのか、注目したい。
【会社データ】 本社=東京都港区新橋6-19-19 アセンド新橋4F ☎=03-5404-7800 創業=1951年12月 資本金=1000万円 事業内容=保管、貨物輸送、物流加工、販売の各業務 http://goyologitec.jp
株式会社五洋ロジテック
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