2022年12月06日
週刊朝日「Challenge 2022」掲載
中野スプリング㈱
中野 隆平 社長
中野スプリング株式会社は、業界では有名なトラック・トレーラー用のリーフスプリング(重ね板ばね)メーカーだ。その起源は人力車のリーフスプリング製造までさかのぼり、刀鍛冶師の息子・中野政吉が創業して146年。愛知県の明治村に保存される人力車にも、同社のリーフスプリングが使用されているという。
「長い歴史の中で培った技術力と豊富なノウハウ、ニーズへの対応力はもちろんですが、それだけでは会社を継続させることはできません。私たちは常に新しいものへのチャレンジを忘れませんでした」 3つの世紀を跨いで今なお発展し続ける要因を、政吉の玄孫で10代目の現社長・中野隆平氏はこう表現する。自身も就任してからの6年半、数多のチャレンジで道を拓いてきた。
まず攻めの姿勢で海外市場の開拓に打って出た。海外での展示会にも初めて参加。社長自ら各国に足を運び、現地のバイヤー開拓に汗を流した。一方でアリババなどを通してビジネスチャンスをつかむなど、様々な方法を試みた。 「従来の東南アジアに新たにオーストラリアなども加わり、今では20カ国以上の市場に製品を供給しています」(中野社長)
ドバイでの展示会出展が機で、いすゞ自動車の海外向け補修専用部品の開発・供給も3年前から手掛ける。技術力はもとより、同社の誇る対応力が評価されてのものだ。中野社長は力説する。 「少量・多品種・短納期、たった数枚のオーダーにも対応できる体制が確立されています。ここまでやれるメーカーは海外でも稀です。扱う製品は3万8千種以上、20年以上前の車両にも補修部品の供給が可能です」
国内においては、蓄積されたノウハウや開発力をアピール。コロナ禍でブームになったキャンピングカーのメーカーと車両の足回り部品の共同開発も行った。また名高いGoodyearブランドのエアスプリングを扱う日本唯一の輸入代理店としてディストリビューター契約を結んで3年を迎える。
世界市場が認めたNSKブランド
中野社長は早稲田大学理工学部を卒業後、トヨタ自動車を経て、草創期のメルセデス・ベンツ日本へ。メルセデス・ベンツ・ファイナンスでは代表取締役副社長も務めた。そして2016年、請われて中野スプリング代表に着任。 「その時掲げた目標は100億円企業です。M&Aも含め異業種分野への進出も考えています」
この10月、本社社屋のフルリノベーションが完了した。本社機能の入る一角以外はテナントを募集している。これで不動産事業の基盤も整った。 「昨日と同じことをやっていては明日はない」。そう自らと社員を鼓舞しながら、中野社長の挑戦は続く。
フルリノベーションで生まれ変わった本社社屋
【会社データ】 本社=東京都港区芝浦4-11-17 ☎=03-3451-3920 設立=1876年 従業員数=62名 事業内容=リーフスプリングの製造・販売等 https://www.nakano-sp.co.jp
週刊朝日掲載「Challenge2022 」/中野スプリング㈱ 『注目企業オンライン』は、各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。
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