2023年11月07日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈲タイプエス
設樂 丘 社長
「百葉箱の扉は東西南北どちら向きに付けるのが正しいでしょうか?」 と問いかけるのは、「計・測・図・量のプランナー」として2003年6月に創業、気象観測機器の販売で20周年を迎えた有限会社タイプエスの設樂丘社長だ。
「正解は日射しの影響を受け難い北側です。気象データは観測地点の条件も含めて正しい方法で『はかる』ことが肝要。当社は、国内の観測所約680地点で年間4400回を超える機器の点検に携わるなど、『欠測』の無いように常に観測機器類が正確に動作するために心を砕いています」 と語る設樂社長は、群馬県の計測機器商社に勤務していた31歳の時、「より広い分野に打って出たい」と独立開業を決意。夫婦二人での果敢な船出だった。
以来、計測機器販売の他設置作業やメンテナンス、コンサルティングや業務代行まで業容を広げ、今では社員数28名、国道17号線沿いの瀟洒なビルに本社を構えるまでに成長している。 扱う機種も国産の他海外製品も殆ど網羅し、観測データを必要とする各省庁や研究機関、企業などに販売。気象観測用センサーの他、ダムや河川に設置する水位計や流速計など、「水文」に貢献する機器も守備範囲だ。自らも本社屋上に、気象庁届出済みの民間気象観測所として「タイプエス南橘気象観測所」を設置して運営。時々刻々の観測データは同社HP上で公開されている。
本社屋上に設置した「アメダス」級の気象観測装置
そんな同社がドローン事業に進出したのは12年10月。未だドローンが趣味の範囲を出なかった時期に、「気象観測用ドローンを開発すれば、空と陸からより正確な気象データが得られる」と閃きを得た設樂社長は、各種センサーやリチウム電池を積んだバルーンが気象観測器として打ち上げられ、やがて海に落ちて海洋ゴミと化している「ラジオゾンデ」の低高度向け代替機となる気象観測用ドローンの開発に着手。何度もの改良を重ねて、正確な観測精度を持つと共に繰り返し運用できる環境に優しい機体を完成させた。
各種センサーを搭載した気象観測用ドローン
「高度5~6㌖程度までの計測が可能になれば、気象観測上、より有意義なデータ取得となる」 と、更なる改良に意欲的な設樂社長はフットワークも軽い。高い技術が評価されて南極の気象観測に携わる他、エジプトのピラミッドの3Dデータ作成の委託を受けた実績もある程で、要請があればどんな無理難題も引き受ける構えだ。
20年9月に開設したテクニカルセンターでは、日本ドローンコンソーシアム公認のドローンスクールも開校。ドローン操作に必要な知識や操縦技術を一箇所で学べる施設として好評で、実践的な安全運行の啓蒙にも取り組んでいる。
テクニカルセンターのドローン練習場(屋外・屋内)
【会社データ】 本社=群馬県前橋市荒牧町2-50-28 ℡027-233-7303 本社分室・テクニカルセンター=群馬県前橋市富士見町田島59-1 設立=2003年6月 資本金=1000万円 社員数=28名 事業内容=気象観測用機器の販売・メンテナンス、ドローン販売・スクール運営 https://type-s.co.jp
㈲タイプエス/設樂 丘 社長
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