2024年04月01日
AERA「Business Report」掲載
㈱エムシープランナーズ
畠山 文明 社長
日本のオフィスフロアの主流を占めるタイルカーペット。毎年約2500万㎡が生産される内、約2000万㎡は原状回復工事や床面改修工事等による張替え需要で、張替え後のカーペットの殆どが廃棄されている(※)。廃棄総重量はなんと10万㌧に及ぶ。中には、原状回復後の新規入居者がフローリング等のフロアを求める場合、新品のまま捨てられることもある。廃棄されるカーペットを1枚1枚横に並べると、ニューヨークと東京を往復できる距離になる。
※環境省・平成29年度グリーン購入法基本方針説明会資料より
未だ多くの人が気付かないこの膨大な無駄にメスを入れ、「タイルカーペットは使い捨て」という業界の常識の変革に挑戦しているのが、1994年6月の設立、今年30周年を迎える、カーペットと石材の再生クリーニング施工会社、株式会社エムシープランナーズ(畠山文明社長)だ。
これまで清掃業界で行われていたタイルカーペット洗浄において、敷設したままの清掃作業では思うような洗浄効果が得られず、ビルオーナーは汚れに諦めて新品に張替えるのが一般的だった。
そんな時、畠山社長は前職の蔵王産業が開発したカーペット丸洗い洗浄機に出会い、これを現場に持ち込んだ「丸洗いリセット施工」に挑む。 すると、1枚1枚徹底的に現場で洗浄して甦らせたタイルカーペットを再度張り直すことで、見違えるほど綺麗に仕上げることに大成功した。
この施工法の採用は、新品張替え工事と比較したコスト削減効果と廃棄されないことによる環境負荷低減効果が評価され、環境省が所管するグリーン購入法特定調達品目の役務「タイルカーペット洗浄」に適合する施工法として認められている。
「丸洗いリセット施工」で明るく綺麗な空間に
一方同社では、原状回復工事などで発生した、どうしても廃棄せざるを得ないタイルカーペットの中で、破損していない再利用可能なものを1枚1円の有償で引き取っている。引き取ったカーペットは、千葉県大網白里市に設置した「タイルカーペットリユースセンター」にて「丸洗いリセット洗浄」を施して再生。リユースタイルカーペット「エシレ」として安価で販売する他、それを用いた敷設工事も行い、タイルカーペットに再度活躍の場を与えている。
リユースタイルカーペット「エシレ」
端材を使って作った「エシレアート」
同社では、そのリユースセンターで作業に当たる貴重な戦力として、障碍者や高齢者を採用。就労支援に貢献する他、災害被災地に合計3940枚の「エシレ」を無償提供するなど、自らSDGs推進に積極的に取り組んでいる。1月31日には、能登半島地震の被災地で支援活動を行っている災害NGO「結」からの要請を受けて、「エシレ」を七尾市の支援物資集積拠点に届けた。体育館の床に敷いて「とても暖かい!」と喜ばれたという。
近年では、SDGs教育に取り組む小・中学校からの依頼で「リユース」の重要性を学ぶ機会を提供。「それでもあなたは、まだ捨てますか?」 と、畠山社長は提言している。
株式会社エムシープランナーズ 本社=東京都江東区北砂1-11-5フリーゼハヤシ4 ℡03-6666-2766 設立=1994年6月 事業内容=石材・タイルカーペットの再生施工、「エシレ」の販売等 企業サイト http://www.mc-planners.com Instagram https://www.instagram.com/mcplanners_challenge
AERA「Business Report」㈱エムシープランナーズ/畠山 文明 社長
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