2021年01月19日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
メトロ電気工業
川合 誠治 社長
去る12月21日、愛知県安城市のメトロ電気工業株式会社(川合誠治社長)は、スズキ㈱と中部電力ミライズ㈱との3社共同で実施した「CO2フリーに向けた低圧鋳造工程の実現による省エネルギーの取り組み」に関して、(一財)省エネルギーセンター主催の2020年度省エネ大賞「省エネルギーセンター会長賞」を受賞した。 これは、3社で共同開発した「赤外線ヒーター式・サブストーク加熱装置」のスズキ・相良工場への導入により、大幅なエネルギー使用量削減・加熱時間短縮と同時に、現場作業の省力化と安全性・製品良品率の向上を実現した取り組みが高く評価されたものだ。
今回の受賞は、同じ3社で2015年、「鋳造工場における赤外線ヒーター式金型加熱器の導入による省エネ・省力化」のテーマで省エネ大賞「資源エネルギー庁長官賞」を受賞したことに続く快挙。各産業界でSDGsへの取り組みが加速する中、ガス加熱から燃焼を伴わない電熱への転換を促進する高評価と言える。 「サブストーク」とは鋳造の際の溶湯の通り道の事だが、同社はガス加熱に依存していたその加熱工程の熱源として好適な高出力カーボンヒーター管「オレンジヒート®」の開発と加熱装置の設計製作を担当した。
「オレンジヒート®」とは、高純度炭素繊維の薄板を耐熱性の高い石英管に不活性ガスと共に封入した、赤外線カーボンランプヒーター。従来のカーボンヒーターに比して赤外線放射性能に優れ、短時間で最高温度2000℃まで達する立ち上がりの早さも好感されて、「工場用暖房器」や「金型加熱器」「食品焼成機」など、これまでのガス燃焼方式に代わる加熱方法として様々な産業用途に導入が進んでいる。エジソンが発明した白熱電球から連綿と続く管球技術という「ローテク」の結晶だが、その「オレンジヒート®」がCO2削減に大きく貢献する「電熱革命」を起こそうとしている。
白熱電球「メトロランプ」から、現在でも国内80㌫のシェアを握る電気こたつ用ヒーターユニットまで、光源と熱源の専門メーカーとして107年の歴史を刻んできた同社は、2000年5月、川合社長を旗頭にこたつ用赤外線電球で培った技術を生かし、「ガスに劣らないほど高温出力できる安全な電気ヒーター管」の開発に着手し、産業用加熱器市場への進出を目指した。
以来20年、紆余曲折を経てその企業努力は「オレンジヒート®」の開発・完成に結実。微妙な温度コントロールの自動化などを通じた用途開発も進み、自動車業界や食品加工分野など、様々な工場で「加熱工程の電化」が進んでいる。 昨年12月、川合社長は20年の過程を克明に綴った著書「ローテク・イノベーション」(幻冬舎刊)を上梓。 「モノづくりの現場で『不可能』に挑戦する経営者の皆様のヒントになれば」 と、川合社長は語る。
【会社データ】 本社=愛知県安城市横山町寺田11-1 ℡=0566-75-8811 創業=1913年5月 資本金=6000万円 事業内容=暖房器・ヒーター管・加熱機械器具事業等 http://www.metro-co.com
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