2022年01月18日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
理光フロートテクノロジー
尾形 隆 社長
容器内の液面レベルを検知・計測し、基準を超えた際に制御装置や警報装置に働きかける「フロートセンサ」。フロート(浮き)式のレベルセンサを製造する日本、そして世界でも数少ない専業メーカーとして暮らしの安心・安全を守り続けているのが理光フロートテクノロジー株式会社だ。 「フロートは大事故を防ぎ、命を守る制御技術の要。先代が事業をフロート一本に絞り、いつでも身の丈に合わせた柔軟な経営を続けてきたことが、同業他社が次々と撤退する中でも生き残り、多くの製品の安全性向上に貢献してきた要因だと思います」 と話すのは、昨年4月に就任した尾形隆社長。世界で愛される「RIKO」ブランドの信頼を守り、モノづくりの根幹に根付く「品質の追求」を継承する。
1965年に理光産業㈱として創業し、当時はパッキン等のゴム製品を取り扱っていた同社は石油ストーブ向け製品からフロートの開発・製造を開始。その後、モータリゼーションの進展を受けて自動車部品など着々と事業領域を拡大し、現在では半導体や航空機、建設機械・農業機械など様々な工業製品に採用されている。 世界屈指のフロートニクス技術の中でも特筆すべきは、同社が独自に開発した「完全独立気泡体」。気泡一つ一つが小さく、厚いカベで囲まれて完全に独立している気泡構造によって液体の侵入を最小限に抑えられるため、極めて高精度の比重設定を実現できる。
独ハノーバーにて世界最大の産業技術展示会 Hannover Messe2018に出展
尾形社長は、この唯一無二の技術を支える技術者たちに「現場の人たちが答えを知っている」と全幅の信頼を置くとともに、改善活動や様々な会議体を通じてフロート部と電子機器部、商社機能を担う海外部の3部門が協力しながら成長できる職場を整えている。 「失敗を恐れず、誰でも意見を言える風通しの良い環境が品質に繋がる。私も皆の意見を聞き、一緒に未来を創っていきたいですね」 と話す尾形社長は正社員だけでなく、60歳以上のシルバー人材や嘱託・パート社員、外国人実習生も合わせて約150名の従業員たちを分け隔てなく「社員」として接しているという。
また、キャリアップが目に見える新たな人事評価制度や、自社に適したDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入も推進する尾形社長。海外売上比率約40㌫(30カ国・150社以上)、自動車業界では世界シェアの3割以上を誇る「RIKO」が、大阪から「世界一」を目指すために若い力を求めている。 「現場の若い社員たちがイキイキと自発的に働き、自分の会社を『世界一』だと思っていることが嬉しい。大阪が好き、日本が好きという気持ちとメイド・イン・ジャパンを作るプライド、世の中の役に立つことに希望を持てる若者と出会い、『人』を創っていきたいですね」(尾形社長)
2020年版経済産業省「グローバルニッチトップ企業100」受賞
【会社データ】 本社=大阪府富田林市中野町東2―2―52 ☎0721―26―0511 設立=1965年5月 資本金=6000万円 従業員数=150名 事業内容=工業用フロート及びフロート技術を応用したレベルセンサ・検知センサの製造 https://www.riko.co.jp
理光フロートテクノロジー株式会社 RIKO
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