2022年08月30日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈱ピーチ&ドリーム
石田 聡司 社長
天候や相場、需給バランスに左右され、「市場依存型」の不安定な野菜・果物の流通システムから、産地と飲食店のムリ・ムラ・ムダを徹底的に省いた「産地依存型」へと改革し、品質・価格・数量の安定化を実現する株式会社ピーチ&ドリーム。予め産地と規格基準や年間で均一の単価などを決め、流通の見える化や歩留まり保証を可能にする独自のスキームは、コロナ禍以前は売上の約9割を占めていた外食から中食向けへと進化を遂げ、クライアント各社から続々と引き合いが集まっている。
「野菜を売る側ではなく使う側(店舗)から業界に入り、買う側の気持ちを熟知していることが私の強みです。前職の社長から『価格を叩くだけの〝ディスカウンター〟ではなく、無駄を省くことでコストカットを図る〝チーパー〟になりなさい』と教えられたことがスキームの原点です」 と話す石田聡司社長は大手飲食チェーンに22年間勤め、13店舗から800店舗という出店ラッシュの新店オープンを次々と成功させる傍ら、バイヤーとしても10年間、日本全国、さらには世界中の農家を回ってリアルな声を聞いてきた。
この現場で培った〝叩き上げ〟のノウハウを具現化し、流通改革を実践する舞台が「カワイイ・キレイ・歩かない」をコンセプトにした本社工場だ。コーポレートカラーのピンクを多用した本社内に構える工場には、徹底した温度管理で24時間365日稼働する最新の全自動冷蔵庫を完備。緻密に動線を考え抜いた作業ラインには一切の無駄が無く、待ち構える従業員たちは検品から規格に沿った商品のピッキング、納品先の要望に合わせたパッキングなど全ての工程で、ほとんど歩くことなく正確な作業を行うことができる。
また、作業着を洗う洗濯機には電解水を使用し、家族の衣類の洗濯に使うこともできる。「家に帰って洗濯する時間を工場での作業に充てられる」と、社内でも独自の発想でムダ削減を進める石田社長。コロナ禍でも「スピードを上げて倍の仕事ができれば給料は下がらない」と、現場のトレーニングに力を入れたことで従業員のスキルとモチベーションはさらに高まった。 「コロナ禍でも人の胃袋は変わらない。大切なのは発想の転換。一人ひとりが仕事を楽しみ、さらにコスト意識を徹底した強い組織体を目指します」(石田社長)
クライアントのPB商品などを「あの会社に持っていけば要望通りに運んでくれる」と絶大な信頼を集める同社は飲食店からスーパー、病院や老人ホーム、幼稚園、保育園、宅配へと事業領域を着実に拡大。石田社長は野菜以外の食品ジャンルも視野に入れた流通改革をさらに推進しながら、介護タクシー「ももたく」も運営するなど地域貢献にも積極的に取り組む。
【会社データ】 本社=埼玉県さいたま市岩槻区平林寺767―1 ☎048―797―7446 設立=2007年5月 資本金=1000万円 従業員数=200名(パート含む) 売上高=25億8600万円 事業内容=生鮮野菜・フルーツ業務卸、ピッキング・パッキング・コンサルタント業務 http://www.pd-yasai.jp
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