2023年09月22日
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㈱インテリジェンス・ワークス
矢島 正樹 会長、荒木 貴代美 社長
1984年に坂村健氏によりプロジェクトが開始された日本発のパソコンOS「BTRON」が復権の兆しを見せている。モノとモノとをネットワークで結ぶIoTの先駆けとして評価されたもので、IoTを構成する各種機器にOSとして組み込まれ、今やその分野で世界シェア60%を占めているという。
80~90年代当時、「BTRON」はパソコンOSとしてMS-DOS等と覇権を競っていたが、米国の圧力や世界標準から外れることを嫌う一部日本企業によって排除される道筋をたどった。そんな中、松下通信工業だけが、「BTRON」のプロジェクトを継続し、教育用パソコン「PanaCal-ET」として商品化を果たした。これは、「AV機能を充実し、小学生でも使える易しい操作と教材の作り易さ」をコンセプトとしたマシンで、当時文部省などの公的補助で93年度から中学校の技術家庭科で採用された経緯がある。
その「PanaCal-ET」のミドルウェアである「VISIBLE-INFO」の開発を松下通信工業から依頼され、OEM供給で製作したのが、今回紹介する「ITをDIYで」をキャッチフレーズとする株式会社インテリジェンス・ワークス(荒木貴代美社長)の矢島正樹会長だ。ちなみに「VISIBLE-INFO」は東京大学デジタルミュージアムの管内制御用に導入されていたものだ。
「PanaCal-ET」(左)、東京大学デジタルミュージアム(右)。
「VISIBLE-INFO」を基に開発されたプラットフォーム「電脳地蔵」を提供する同社の設立は2007年10月だが、そのきっかけは1996年に遡る。ANAやシンガポール航空のCAとして勤務後、英語や音楽の才能を生かして様々な分野で活動していた荒木貴代美社長がその一環としてコンピュータ音楽を手掛ける際、フリーの立場で「VISIBLE-INFO」のコンセプトを生かしたシステム開発を様々な企業に提供していた矢島会長を紹介されたことに始まる。
以来、折に触れ交流を重ねるうち、「世の中には自分の能力を活かせていない、活かせる場がない人が多い。そんな若者たちの潜在能力を引き出し、活用していけるプラットフォームを提供したい」と意気投合。専門家でなくともITを自在に使える環境づくりを目指して設立されたのが同社だ。
矢島正樹会長(左)、荒木貴代美社長(右)
同社が提供する「電脳地蔵」は独自の「神経系アルゴリズム」(特許取得)を搭載したITプラットフォームで、ソフトウェアを部品化することで難しいと思われがちなプログラミングを、専門家でなくとも誰もが簡単にできるようにしたもの。オリジナル教材作成やプログラミングで起こりがちなバグ対策、ファイル管理なども含めて業務効率化を自由に設定できるので、企業内でのIT人材教育に役立つほか、企業や学校でのプログラミング教育やアルゴリズム構築の習得に適している。
音楽・音声出力やカメラ制御、センサー設備など、様々な機能を持つ「情報部品SEED」をプラットフォーム「電脳地蔵」に接続することで、それぞれの機器を自在に動作させることが出来る。例えば、施設の出入り口で来客や社員に挨拶や案内などをする「電脳地蔵エントランスシステム」や、自動散水とセキュリティが同時に出来る「水を操る」、介護施設内の見守りをする「電脳ドア」など、条件設定のプログラミングも簡単に設定・変更できる。これまで、外部に依頼せざるを得なかったアプリケーションを「DIY」で簡単に作れるわけだ。
2023年にオープンした同社の「ラボ」では、windowsOS対応の「プラットフォーム電脳地蔵」を使ったプログラミング講習や見学・体験ができる。 お申し込み・お問い合わせはinfo@intelligenceworks.co.jpまたは同社HP内お問い合わせフォームへ。
本社=東京都三鷹市下連雀3-32-12-101 ラボ=東京都三鷹市下連雀3-32-12-102 TEL0422-43-5564 設立=2007年10月 資本金=1000万円 事業内容=ソフトウェア開発・システム製造卸販売・音声音楽コンテンツ制作 ホームページ=https://www.intelligenceworks.co.jp 電脳地蔵Webサイト=https://www.denno-jizou.com (15) 電脳地蔵 – YouTube
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