230925 ㈲富栄/冨岡 栄作 社長

2023年09月25日

AERA 「Business Report」掲載

とにかく気さくな薬学博士の調剤薬局
ライフスタイルに合わせた服用を提案

㈲富栄

冨岡 栄作 社長

「おはようございます!」
 元気な声が店内に響き渡る。
「その後いかがですか?」
「大分いいんですよ」
 たちまち和やかな雰囲気に。
 薬はすでに用意されている。事前受付管理システム「イーパーク」を導入。処方箋を撮影して送信すれば、調剤の予約ができる便利なサービスだ。待つ必要がない。

 世間話で盛り上がったお客さんを笑顔で見送るのは、有限会社富栄の冨岡栄作社長だ。ここ中延店を1号店として起業し、18年半が過ぎた。今、品川区と大田区に5店舗の調剤薬局を展開する。
 調剤以外に小山店は刻み漢方薬、五反田店は市販薬も置くなど特色を出しているが、共通しているのはどんな処方箋も断らないことと、店長が気さくで、接客が大好きなことだ。

 業績が伸び続ける理由を「スタッフの力」と冨岡社長は言い切る。「スタッフに言ってることですか? 『体調に気をつけて』ですね。自分たちが元気でないと、患者さんに気配りができません。あとは自由にやってもらっています。私が指図しないから、みんな自分で考えるようになって、成長してくれるんです」と今度は照れながら語った。

 富栄は在宅訪問にも力を注ぐ。自宅に伺うことで、一人ひとりの患者の状況が見えてくる。ちゃんと服用しているか。できていなければ何が原因か。よく話を聞いた上で医師と相談し、毎食後がむずかしければ朝・夕食後に変更したり、錠剤を服用できなければ粉薬にしたり。

「患者さんの状況は千差万別です。薬の効果を最大限に発揮させるために、それぞれのライフスタイルに合わせて服用方法を提案します。実はみなさん、いろんな疑問を抱えています。こんなにたくさん飲む必要があるのか。本当に効いているのか。食事が取れない時はどうすれば等々。一つひとつ丁寧に答えていきます。患者さんと深く関われる在宅訪問こそが、薬剤師の醍醐味を一番感じるひと時です」(冨岡社長)

中延調剤薬局。富栄の歴史はここから始まった

社長兼店長が薬学博士に
学習塾経営にも着手

 冨岡社長が薬剤師を志したのは高校時代のこと。友達の付き添いで訪れた病院で、薬剤師が懇切丁寧に薬の説明をする姿に心が動いた。その思いは冷めることなく、東日本学園大学(現・北海道医療大学)薬学部へ進学、一生の仕事となった。横浜労災病院に入職ののちも、向学の志はやまず、働きながら明治薬科大学の社会人大学院(夜間)に。
 同時に土曜日は、調剤薬局で10年以上アルバイトを続けた。その薬局が閉店することとなり、顧客のクリニックから請われて起業を決めた。35歳だった。店長兼任の社長として多忙な日々を送りながらも、さらに40代で昭和大学の博士課程に入学し、昨年春ついに博士号を手にした。

 今後も堅実な経営を心がけながら、まずは10店舗をめざす。そのための人材も欲しい。年齢は問わないが、誠実な人と働きたいという。
 冨岡社長は本業の傍ら、学習塾「関塾荏原中延校」の運営も手がける。
「ここから将来、医療に従事する若鳥が巣立ってくれればいいなと思っています」

本社=東京都品川区西中延2-5-5-102
℡03-5749-3507
創業=2005年1月
事業内容=調剤薬局運営(中延、小山、糀谷、五反田、荏原町の5店舗)
https://www.tomiei.info

 

AERA 「Business Report」 ㈲富栄/冨岡 栄作 社長
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㈲富栄/冨岡 栄作 社長

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