2023年04月25日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
八洲産業㈱
高椋 正年 社長
飲食の分野では福岡の企業が東京へ進出し成功する事例が数多ある。 「九州では常に『お客様ウェルカム』で、控えめな姿勢の会社が多く、東京をはじめ全国で成功する大きな要因の一つと感じます」 と話すのは福岡に本社を置き、国内・アジアに5つの拠点を構える八洲産業株式会社の高椋正年社長だ。 同社は1957年に設立。電線、電材など配線機器の販売からスタートし、FAの黎明期から九州エリアの老舗専門商として多くの顧客を持つ。昨年度の取引先は1300社に達した。
年間約1300社との取引を統括する営業部
本社屋 外観
高椋社長は98年に2代目として就任。当時、ITバブルの崩壊や人口減少による経済危機が謳われ、ネットの普及により情報社会が成熟する中で、高椋社長はある種の可能性を追求する決断をしたという。
「私たちは明確な『強み』を持たない商社でした。自社の『強み』を顧客目線で研究していく中で、企業間取引における‟利便性”の追求が必要と考えました」 各地の顧客と親交を深めていく必要を感じた高椋社長は2004年、東京に営業所を開設。同社の地道かつ謙虚な企業姿勢に共感する取引先は多く、次第に規模を拡大し、12年には東京支店設立へと発展した。
また、福岡が釜山まで国際線でわずか30分の距離である点に以前から着目していた高椋社長は、14年に韓国に出店、一気にグローバル化へ踏み込んだ。現在は10名の外国人社員が在籍し、電子産業のハブである台湾をはじめ、タイやマレーシアなどASEAN各地の企業とも連携している。この5月には、本社向かいに新たな「パークオフィス棟」が完成する予定だ。
「自由でオープンマインドな創造性が発揮できる環境で、多くの人がここで働いてみたいと感じてもらえるような空間にしたい」 と高椋社長が話すように、同社の自由で開放的な環境や社風は、上を目指す社員にとって魅力的だろう。
本社には6ヵ国10名の外国人社員が集結
「これだけ情報過多になってくると、その情報がどれだけ信頼できるかが重要で、市場には『信頼できる利便性』に対する渇望がある。工場の設備は30年のサイクルがあり、広い商品知識と経験が必要とされる。私たちは小さい規模だからこそ機動力が発揮できる体制があります」(高椋社長)
時代の変化を正しく読み取りながら自らの「強み」を常に研究し、素早くアップデートしていく――。その根底に、同社の謙虚な企業理念が見えてくる。 「顧客の思考を一緒になって一生懸命考えていけば、自ずと時代の先取りにつながる。言葉にならないもの、気配を的確に感じ取って、必要なものを提供すること。日本の産業界が大手に限らず世界で評価されるようになって欲しい。そのために私たちは貢献したい」 と高椋社長は語る。
【会社データ】 本社=福岡県福岡市南区大楠2-9-14Yビル ☎=092-521-0761 創業=1957年11月 従業員数=58名 資本金=8000万円 売上高=42億円 事業内容=産業用半導体・電子機器の販売、産業用電子機器の企画・開発及びOEM生産等 https://www.yashimasangyo.co.jp
八洲産業㈱/高椋 正年 社長
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