2023年05月30日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
㈱キーマン
片山 寿夫 社長
「新しいものを建てない建設会社」—。「壊して造る」から「修繕して長く使う」へと社会の価値観が大きく変容していく中、1993年9月にキーマン・テクニカルとして大阪市此花区で創業した株式会社キーマンは、当初から「建造物の耐震化・長寿命化」の重要性に着目。橋梁・高速道路・鉄道等の土木分野と学校・工場・集合住宅・商業ビル等建築分野の両分野で、耐震補強と長寿命化対策の技術を研鑽し、老朽化建造物のメンテナンスに特化した事業を展開してきた、今年創業30周年を迎えるスペシャリスト企業だ。
創業から2年後の95年1月の阪神・淡路大震災発災を境に、国土強靭化計画によるインフラ整備や公共施設の耐震補強促進等の需要が高まり、特殊技術を持つ同社へのオファーが急増。95年9月には㈱キーマンへの法人化と東大阪市への本社移転を果たす。その後も躍進を続ける同社は13年4月、念願だった東京支店開設にいよいよ着手する。
その先兵となったのは創業社長の弟で、自ら一級施工管理技士の資格を土木・建築の両分野で取得し、購買業務の一本化で収益体質の強化に貢献、16年から代表を務める片山寿夫社長。精鋭スタッフの相棒と2人での果敢な船出だった。 当時関東圏でも、東日本大震災後の耐震補強へのニーズは根強く、紹介が紹介を呼ぶ好循環で信頼を獲得し、順調に受注を重ねる。開設11年目の現在では、売上高で大阪本社を凌ぐまでに成長し、この4月には東京進出10周年を迎えた。
高灯籠が目を引く「天保山大阪ベイ・今昔荘」
18年9月に支店から支社に昇格した東京支社では今、1981年の新耐震基準設置以前に建てられた古い建物を対象に、耐震補強を施した上で、時代に合った新しい価値を与えて資産価値向上を図り、高収益不動産化する「RE・do」事業の拡大に力を入れている。 その第一弾が天保山大阪ベイに完成した高級貸切宿「今昔荘」。屋上風呂に配置した高灯籠と窓から見える大観覧車ビューの融合は圧巻で、高い代価を払っても泊ってみたい宿泊施設だ。
また、現在竣工間近なのがシェア型複合施設「RE・do神保町ビル」。1階にレストラン型シェアキッチン、2階にコワーキングスペースを配置し、3~5階はシェアハウスとする新感覚の複合施設で、同社の斬新なアイデアが光る傑作。他にも各分野の専門家とコラボしたプロジェクトが複数進行中で、どんな新価値が生まれるかに期待大だ。
「古い建物を活かすことができるこの『RE・do』事業も創業30年となる耐震のスペシャリストとしての揺るぎない土台があるからこそ可能性が生まれた。社会にだけでなく社員にも、我が社の可能性を提示し続けて行きたいし、魅力のある会社であり続けたい。そして一緒にチャレンジしたいという人は是非当社に参加して欲しい」 と、片山社長は語る。
「RE・do神保町」再生プロジェクト
【会社データ】 本社=大阪府東大阪市荒本新町6-6 ℡06-6788-3111 東京支社=東京都中央区京橋3-14-6 斎藤ビルヂング7F ℡03-6661-0288 創業=1993年9月 資本金=3000万円 事業内容=耐震診断・耐震補強工事、構造物長寿命化対策工事、RE・do事業 https://www.keyman.co.jp
㈱キーマン/片山 寿夫 社長
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