2023年06月13日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
デラバル㈱
中野 省吾 社長
新型コロナウィルスの蔓延時には学校給食が停止し、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する輸入飼料の高騰や昨年の急激な円安など、相次ぐ苦難が酪農業界を襲った「酪農危機」。乳用牛を飼養する約1万3000戸余りの酪農家たちが予期せぬ強烈な逆風を耐え抜く中、彼らの挑戦を支え続けている酪農機器ブランドが「デラバル」だ。
遠心分離セパレーターや搾乳機器、蒸気タービンなど92件の特許を取得し、37社を立ち上げたスウェーデンの発明家、グスタフ・デ・ラバルによって創設されたデラバル社。ストックホルム近郊で自社牧場「ハムラファーム」を運営し、140年に亘り革新的な技術と製品を次々創出してきた。
「ニッチなマーケットを専業として開発を続けてきたデラバルグループには多種多彩なノウハウが蓄積されている。当社は高齢化や後継者不在、労働力不足、過重労働などに直面する日本のお客様にそのノウハウを提供し、課題解決に貢献することが使命です」 と話すのは、世界トップクラスのシェアを誇るデラバル社が1970年に設立した日本法人、デラバル株式会社の中野省吾社長。全国23カ所の主要酪農地域に拠点を持ち、「持続的な食料生産を可能にする」というビジョンのもとで、牧場1件1件のニーズに応じた最適な製品を提供できる〝製販一体〟の事業体制こそが最大の強みだと語る。
「自動搾乳ロボットVMS™V300」
また、サービスエンジニアやモバイルショップセールス、ファームアドバイザリーといったチームがきめ細かく顧客をフォローし、機器のメンテナンス、消耗品の提供、アドバイスを通して牧場経営や作業の効率化、乳牛を快適な環境下で飼養する「アニマルウェルフェア」、食の安全性確保、環境問題への配慮など様々な角度から酪農経営をサポート。小規模牧場から大中規模牧場まで商品の需要が多岐にわたる中、特に大規模牧場向けの「ロータリーパーラー」や最先端技術を搭載した「自動搾乳ロボット」を戦略商品として販売を強化していく。
中野社長は、アニマルウェルフェアや環境負荷の観点から法律的規制も厳しいヨーロッパで不動の評価を受ける高品質な製品力と、140年に亘り培ってきたデラバルグループのノウハウを活用し、自社の持続的成長を通して日本のマーケットリーダーを目指す。
「製品の魅力を伝えるのは人。グローバル企業として世界的トレンドを先取りするために常にお客様を中心に置き、マーケットの現状を分析しながら将来の戦略を考えることが大切です。お客様からリクエストを頂く前に我々から提案すれば付加価値と満足度が高まる。社内で様々な意見を言い合える企業文化を作っていきたいですね」(中野社長) 今年から在札幌スウェーデン名誉領事館も兼ねる同社の活躍に注目だ。
140年の歴史を誇る「ハムラファーム」
【会社データ】 本社=北海道札幌市北区北7条西1丁目2―6 NCO札幌14F ☎011―738―2311 設立=1970年3月 資本金=4800万円 従業員数=210名 売上高=89億9000万円 事業内容=酪農機器・設備・システム及び関連資材の販売、工事及びサービス https://www.delaval.com/ja
デラバル㈱/中野 省吾 社長
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