ホイストとは、工場や倉庫内で天井クレーンと組み合わせて重量物の横移動・上下動の運搬作業に使われる、無くてはならない装置のこと。万が一故障したら工場・倉庫の機能がストップしてしまうだけに、定期的な点検・メンテナンスは欠かせない。

　１９７５年１月創業の甲府ホイスト株式会社は、そのホイスト・クレーンの販売・施工から点検・修理まで一貫して手掛ける、全国でも数少ない貴重な専門家集団だ。現代表・松本卓馬社長の父君が、ホイストメーカー大手の日本ホイストの勧めで、点検・修理の拠点を神奈川県から山梨県に移したのが同社の始まり。以来地道な活動を続ける中、ホイストの販売・施工から引き渡し後の点検・修理まで、少数精鋭で一貫して手掛ける体制を築いていく。

　転機となったのは、高校卒業後米国・カリフォルニア州のカレッジ・オブ・ザ・レッドウッズに留学していた松本社長が23歳で帰国し、同社に入社した年。２００１年のことだ。子供の頃から父親の仕事ぶりを見て「カッコイイ」と憧れていた松本社長は、入社以来見る見る内に必要な技術・知識を身に付け、実際の点検・修理作業の他、社内体制整備や人材採用活動にも注力していくようになる。

　仕事柄、工場・倉庫・港湾の稼働していない夜間・早朝や土日・祝日の作業が多いことから、どうしても若い人材が集まりにくく、高齢化が進む零細事業者は撤退せざるを得ない状況にあるこの業界。そんな中同社は、松本社長の米国流の良さを採り入れた、求職者の立場から見た働き易い環境づくりで、若手や女性の人材獲得に成功している。

　例えば休日取得の自己申告制や社内環境改善のための「目安箱」の設置などの働き方改革が奏功して、若手の多い同社の作業現場の様子は、顧客から見ても紹介が紹介を呼ぶ好評で、定期点検契約の顧客は４００～５００社に及ぶという。

　その好評はホイストメーカーにとっても心強く、数社のメーカーからの要望で、13年１月には神奈川県に、14年10月には千葉県に相次いで営業所を展開している同社。人材が整うのを待って、工場・倉庫の多い愛知県にも進出する構えだ。

　入社15年目の16年10月、父親の跡を継いで代表に就任した松本社長は、更なる若手の参加を求めてこの仕事の魅力をアピールする。
「お客様が本当に困る故障の修理に出動した際に、手早く『治す』姿を見たお客様は、まるでヒーロー扱いで感謝して頂きます。その為の電気・機械・クレーン運転の技術は責任を持って指導します。入社満１年の女性も現場で活躍しており、超フレックスタイム制導入に向け一人でも多くの若手の参加を期待します」

【会社データ】
本社＝山梨県中巨摩郡昭和町押越２４８８
℡０５５-２７５-３２８８
神奈川営業所＝神奈川県厚木市下川入91-29
千葉営業所＝千葉県千葉市若葉区大宮町２８８０
創業＝１９７５年１月
資本金＝１０００万円
事業内容＝ホイスト・クレーン等の販売・設置工事・点検・改修・修理等
http://www.kofuhoist.co.jp