2023年08月23日
週刊新潮「チャレンジカンパニー」掲載
㈱光英科学研究所
村田 公英 会長
昨今「菌活」という言葉が巷間を賑わせ、その意味として「体に良い働きをする生きた菌を食事から摂り入れること」との解釈が大勢を占めているが、その傾向に異論を唱えるのが、「乳酸菌生産物質」の研究・開発に長年携わってきた株式会社光英科学研究所の創業者、村田公英会長だ。
「果たして、生きた菌を積極的に食べるだけで『菌活』の目的が果たせるのでしょうか?最新の乳酸菌研究の学術界では、既に『生きた菌』の健康に対する効果から、菌が発酵して代謝した物質に焦点が移行しております。科学的なエビデンスを持つ乳酸菌が作り出した、消費者庁所管の機能性表示食品が増加しているのも、代謝物の研究を踏まえての事象だと推測します。今や、菌が生産した成分こそが健康に役立つというのが学術界での趨勢です」 と、村田会長は「菌活」の解釈の是正を主張する。
同社の研究・開発は、大正時代から続く乳酸菌飲料の開発に携わり、1944年に大谷光瑞農芸化学研究所の次長として、その製造方法を生きた菌から菌の分泌物に「大転換」するチャレンジを行った故・正垣一義氏の研究成果をルーツとする。その折に完成した16種の乳酸菌の共棲培養方式を今に引き継ぎ、16種16株ではなく16種35株に昇華、百有余年のチャレンジを経て乳酸菌生産物質という「乳酸菌の花」を咲かせたのが同社なのだ。
69年に正垣所長の研究を引き継ぎ、光英科学研究所を個人創業した村田会長は以来25年間、生活のための無線機メーカー勤務と乳酸菌研究・開発の二足の草鞋で乳酸菌生産物質の灯を点し続けてきた。その甲斐あって94年2月、乳酸菌代謝物の効果を高く評価し、全面採用する健康食品販売会社との幸運な出会いを機に法人設立。乳酸菌生産物質の研究・開発と製造・販売を主業に、来年2月設立30周年を迎える。
その間、16種35株の乳酸菌共棲培養方式を確立し、メタボローム解析では34のペプチドを含む352種類の健康に有用な発酵代謝物の特定に成功した乳酸菌生産物質。最初の一社を皮切りに数多くの健康食品や一般食品の原料として採用され、世界の人々の健康増進に大きく貢献している。 昨年10月には、日本薬科大学協力の下に実施したヒト試験で、乳酸菌生産物質を体外から摂取する試験を実行しており、その研究結果は腸内細菌学会発行の「腸内細菌学雑誌」22年10月号に査読付き論文として掲載されている。
大正時代から数えて百有余年に及ぶ絶え間のないチャレンジの末、世界に評価され始めた乳酸菌生産物質は正に『乳酸菌の花』と呼ぶに相応しい。今後もこの花を咲かせ続け、もっと広い世界の人々に健康増進という贈り物を届けたい」 と、今年83歳を迎える村田会長は未だ尽きぬ夢を語っている。
【会社データ】 本社=埼玉県和光市新倉5-1-25 ℡048-467-3345 創業=1969年4月 設立=1994年2月 資本金=1000万円 事業内容=乳酸菌生産物質の製造・販売、研究・開発 https://www.koei-science.com
株式会社光英科学研究所 乳酸菌生産物質
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