2023年10月24日
サンデー毎日「会社の流儀」掲載
新発設計
髙橋 英明 社長
1400万人の都民に安全で美味しい水を供給し、つなぎ合わせれば全長が地球半周以上に相当する東京の水道管。この世界に冠たる水道インフラを支えるエキスパートとして技術の進化をリードしてきたのが、設立40周年を迎えた株式会社新発(しば)設計だ。
「常に公共工事を担っている立場と責任を理解し、バブル当時も大きく動かなかったことが生き残ってこられた要因。高尚な資格を持っているから仕事を頂けるのではなく、〝信頼されること〟が大事なのです」 と語るのは、1983年に同社を設立した髙橋英明社長。東京都水道局をはじめとする取引先の「信頼」に愚直に応え続けながら着実に業歴を紡いできた。
上水道をはじめとする土木工事の設計から構造計算、積算、測量、施工監理までを一貫体制で担う同社。阪神淡路大震災を機に布設が進む耐震管路の設計などへ事業を拡大し、近年老朽化や自然災害の脅威が迫る首都の水道インフラの安全性確保に貢献しているのだ。
「人通りが多い繁華街や道幅が狭い道路など、他社が二の足を踏む案件にも数多く携わってきました。技術は相当進歩すると思いますが、出来ないと思うのなら勉強すれば良いのです」 と話す髙橋社長が注力しているのは、給水管を通じて各家庭と直接繋がる口径350㍉㍍未満の「(配水)小管」を主としてきた事業領域を、配水場から小管まで水道水を送るための「(配水)本管」へシフトさせること。より大型で地中深く掘り進めなければならないために難易度が高い本管の業務で実績を積み重ね、最上流の浄水場内の配管を担う存在を目指す。
社訓策定や本社移転にも着手し、自社の新たな土台作りを進める髙橋社長は、増設したフロアに勉強部屋を設置。女性が半数を占める社員の平均年齢は40代前半と若く、全員参加で月2回行う勉強会などで幅広い学びを積んでいる。
土木の本質から最新技術まで幅広く学ぶ勉強会の様子
「彼らの力をさらに引き上げるために新しい人材が必要。技術者一人にかかる負担が大きかった業務を分散させ、女性や若者が働き易い環境を整えています」 と髙橋社長。現在40歳の子息が率いるであろう次世代の組織づくりを進める傍ら、中高生のインターンシップを迎え入れるなど人材の確保に本腰を入れる。
また、BCP(事業継続計画)も独自に策定している同社は、災害など緊急時に自主的な救護活動を行うために救命技能の資格取得を推進。安全対策にも万全を期す背景には、髙橋社長が抱く「みんな幸せ」という会社の理想像がある。 「培ってきた高度な技術力やノウハウを首都圏の他の自治体にも提供できるかもしれません。社員との縁を大切にして、みんなで豊かになりたいですね」
「みんな幸せ」を目指して全社員で作成した社是と社訓
【会社データ】 本社=東京都練馬区貫井2―1―29 NKビル4F ☎03―3825―0710 設立=1983年5月 資本金=2500万円 従業員数=39名 事業内容=建設コンサルタント、測量・調査・上下水道・土木設計・道路設計・公園設計 https://shiba-sekkei.co.jp
新発設計/髙橋 英明 社長
『注目企業ONLINE』は「サンデー毎日」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目企業の掲載記事をオンライン版として公開しています。