2024年01月25日
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ATEX爆発防護㈱
鈴木 友美 社長
誰もが一度は耳にしたことがある「粉塵爆発」。金属粉、炭塵、小麦粉や木粉など、可燃性の粉体が密閉空間中に浮遊する状態で着火し、爆発を引き起こす現象のことだ。多くの場合、その規模や威力は凄まじく、一瞬で建物の倒壊や多数の死傷者を伴う大事故に繋がっている。
粉体を扱うあらゆる産業において「プロセス防爆」が義務化されている米国や欧州など先進諸国では、度重なる「粉塵爆発」の危険性を回避するための原因究明や、被害を極小化するための装置開発など対策が進んでいる。一方日本では、可燃性の粉体を取り扱うすべての場所で発生する可能性があるにも関わらず、身近な潜在リスクとして認識されることが少ないのが実情のようだ、
そんな中、日本で生まれてニュージーランドで育った鈴木友美社長が、同国で起きた火災・爆発事故の際に被害を極小化したドイツ・ATEX社の爆発防護技術の先進性に触れ、その中身が知りたいと単身渡独。ATEX社の技術を日本に持ち帰って普及しようと、2010年10月にATEX社の日本法人として設立したのがATEX爆発防護株式会社だ。
ドイツ・モナジー村のATEX本社
既にドイツ本国の他EU諸国、米国、英国、ニュージーランドなど世界的に普及しているATEX技術だが、日本法人設立当初は、日本市場の閉鎖性に苦労したという鈴木社長。一旦諦めかけていた14年10月、「熱の制御技術」で知られる米国系企業・日本フェンオールOBの鉾田泰威氏を営業技術部長に迎えると、俄然ATEX製品の日本の製造業への浸透が動き始める。
ドイツ発、日本の「プロセス防爆」のエキスパート達(左から2人目が鉾田営業技術部長)
まず、鉾田営業技術部長が始めたのは、「防爆設備」の重要性を知ってもらうための「TRC防爆懇談会」の開催だった。
「『粉塵爆発』の脅威は知っていても、いつ起こるかわからないリスクに備えることに経済的合理性はあるのか?」。その問いに答える理論として過去18回に渡って、本社を置く東京流通センター(TRC)・会議室に有志を集めて開かれた「TRC防爆懇談会」では、製造現場のニーズと制約条件・経済合理性を重視して、実践的な解決方法を提案。火災や爆発が起こる様々なプロセスと、それに対処する防爆設備の多様性を紹介することで、参加者は自社の実情に即した「プロセス防爆」の手法を知ることができる。
中には何度も参加する現場担当者もおり、同社ではより詳しく知りたい人のために専門的な技術資料や論文を惜しみなく提供している。また、実践的な爆発防護の入り口として、受動型防爆設備・爆発放散口パネルの在庫販売を開始。外資系企業の場合、商品在庫や保守サービスの充実度が不安だが、同社では即納できるほどのベントパネルの豊富な在庫を保有している。さらに、爆発の発端を圧力で検知して、瞬時にそれぞれの状況に最適な方法で消炎する爆発抑止システムなど、各クライアントの実情に応じた爆発防護ソリューションの開発から設計、保守点検サービスまで、ワンストップで対応している。
爆発抑止システム・爆発放散設備他
「ATEX-EN規格、NFPAなど、欧米ではリスクアセスメント共に標準化されている爆発防護設備の設置・導入で、一刻も早く万一の爆発事故のために役立てて欲しい」 と、鈴木社長はATEX製品普及への思いを話している。
ATEX社爆発試験場
[会社データ] ATEX爆発防護株式会社 本社=東京都大田区平和島6-1-1 東京流通センター センタービル618 TEL03-6457-1311 設立=2010年10月 事業内容=爆発防護機器の販売及びコンサルティング http://www.atexjapan.com
ATEX爆発防護㈱/鈴木 友美 社長
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