2024年02月13日
AERA「Business Report」掲載
メトロ電気工業㈱
川合 誠治 社長
白熱電球を発明したエジソンに憧れていた川合誠治少年は愛知県立刈谷工業高校を卒業後、当時白熱電球「メトロランプ」を製造し、既にこたつ用赤外線電球の量産化に成功していたメトロ電気工業株式会社に迷うことなく就職した。1966年4月、今から58年前のことだ。
22歳の頃の川合社長
以来今に至るまで、管球製造技術の研鑽を積み、家具調こたつ用ヒーターユニットや屋外大型ディスプレイ用LED集合ランプ、冷蔵庫・電子レンジの庫内灯用電球等、同社成長の原動力となる技術開発に携わってきた。それらの貢献が評価されて41歳で役員に就任すると、常務、専務を経て2000年5月には周囲に推されて代表に就任した川合社長。
社長就任以降の施策もタイムリーだ。就任早々には、バブル崩壊後のデフレスパイラルに苦しむ中、01年にはマレーシア・ジョホールバルでこたつ用ヒーターユニットの委託生産を開始。翌02年には増産に伴って中国浙江省工場の新設移転を実施し、ハロゲンヒーターやクリプトン電球の製造を開始するなど、国内市況と国際情勢を睨んだ諸施策は、同社の継続的成長を支えてきた。
そして05年6月には、今に繋がる「光源から熱源への転換」の契機となる、独自技術によるカーボンヒーターの製造販売を開始。「オレンジヒート」と命名し、これを熱源とした素人設計の電気炉や業務用調理器など試作展示し、顧客の用途開発を促した。やがてこれが、CO2削減に貢献する赤外線カーボンランプヒーターとして、同社期待の成長株へと進化していくことになる。
CO2排出削減の切り札「オレンジヒート」
「オレンジヒート」のロゴマーク
この「オレンジヒート」は、加熱方法の革新と大幅な環境負荷低減効果が評価されて、16年の省エネ大賞や資源エネルギー庁長官賞、19年の愛知環境賞・銅賞、21年の省エネルギーセンター会長賞、気候変動アクション環境大臣表彰・大賞など、数々の表彰の栄誉に輝いている。
また、生産体制の強化にも積極的で、07年には物流効率化を図るため、愛知工場敷地内に新社屋を増設。東日本大震災後の13年には、BCP(事業継続計画)対策の一環として島根県雲南市に島根工場を新設した。
愛知県安城市の本社・工場(左)、島根県雲南市の島根工場(右)
07年、富士山一周の時の川合社長
勤続58年。現在76歳の川合社長は今、経営の襷を次世代に引き継ごうとしている。その準備段階として21年10月に同社は、社員が一丸となって継続的な企業価値の向上と社会の発展に貢献することを目指し、新たな企業理念体系「ミッション・ビジョン・バリュー」を制定した。
「企業理念にあるようにこれからも、情熱と行動でワクワクする未来を切り拓いて欲しい。目指すべきは新たな価値を創造する熱源のエンジニアリング企業だ。皆が『私達の会社だ』との想いで臨めば道は見えてくる」 と語る川合社長。経営の襷は、トヨタ自動車勤務を経て現在、大学教授と同社役員を兼務する、信頼厚い近藤元博常務に引き継がれる。
【会社データ】 メトロ電気工業株式会社 本社=愛知県安城市横山町寺田11-1 ℡=0566-75-8811 創業=1913年5月 資本金=6000万円 事業内容=暖房器・ヒーター管・加熱機械器具等設計・製造・販売事業 https://www.metro-co.com
AERA「Business Report」メトロ電気工業㈱/川合 誠治 社長
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