2024年03月04日
AERA「Business Report」掲載
日本防災スキーム㈱
代表取締役社長 佐藤央(おう)
1月1日、令和6年能登半島地震ショックで年が明けた2024年。3月11日は、東日本大震災発災から13年目の哀悼の日だ。正に地震大国と言える日本に住む以上、私達は万一に備える防災対策を、常日頃から準備しておく必要に迫られている。
とはいえ、人生の大半は日常。非日常の安心・安全を守る為だけに限られた資金・資源を費やすのは難しい。「私達の身の周りにあるモノやサービスを、日常時はもちろん非常時にも役立つように開発する」=「フェーズフリー」の考え方で、有意義な商品開発を展開しているのが、22年6月1日設立の日本防災スキーム株式会社(略称=NBSs)だ。
東京都は昨年11月、「東京都オリジナル・防災ブック」を全戸に無料配布した。特に同梱のリーフレットでは、震度5強相当の地震を感知した時、自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」設置の重要性を強調。何故なら、地震発生時の建物火災の約6割は、地震の揺れに伴う電気機器からの出火や停電復旧後の通電火災など、電気の熱が火元だと分析しているからだ。併せて同じ紙面で、夜間の停電時でも行動できる明るさを確保する、照明器具もセットで常備するように注意喚起している。
同社ではそれに先立つ昨年4月、遮断機器を選択できる特定遮断型感震ブレーカー「COCO断」を発売。電気ストーブやアイロンなど危険な機器には遮断し、医療器具など停止できない機器には通電を続けるように設定できるブレーカーだ。これは東京都の無償配布機種として採用され、昨年来急速に普及している。
特定遮断型感震ブレーカー「COCO断」
一方、停電時でも明るさを保つ照明器具としては、停電しても消えない電球「いつでもランプtsuita」を提供。これは、点灯中に起こった突然の停電時に内蔵バッテリーを通電させ、明かりを灯し続けるLED照明。普段の生活では電気代を節約できる照明として使い、緊急時には瞬時にバックアップ照明として機能する。口金部分を握れば通電して点灯、懐中電灯代わりにも使える日常時・非常時対応の逸品だ。
手で握っても通電して点灯する
通常時(左)と停電時(右)の明るさ
「感震ブレーカーの設置率を50㌫に高めることで、地震が原因の火災による焼失棟数を大きく減らすことができます。『COCO断』と『tsuita』の普及で、『通電火災』の抑止に微力なりとも貢献したい」 と語る佐藤央社長は一方で、災害・防災・減災に関する講演や啓蒙活動にも精力的に取り組んでいる。
「東日本大震災以来、『安心・安全な暮らしを守りたい』との使命感を抱き、防災商品の開発を進めてきました。日常と非日常を分けるのではなく、普段の生活をより豊かにすると共に、有事にも対応できる『フェーズフリー』の発想による商品開発が、今こそ必要だと確信しています」 と、佐藤社長は話している。
【会社データ】 日本防災スキーム株式会社 本社=東京都稲城市東長沼568-11 HPビル2F ℡080-3713-0069 設立=2022年6月1日 事業内容=防災に配慮した製品の開発・製造・販売、講演・啓蒙活動等 https://www.nbss.co.jp
AERA「Business Report」日本防災スキーム㈱/佐藤 央 社長
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