スクーナー/樋口 信行 社長

2021年03月23日

サンデー毎日「会社の流儀」掲載

夢とスピードで切り拓いた40年
甘えびで美と健康を食卓へ運ぶ

スクーナー

樋口 信行 社長

 寿司ネタとしても人気の高い「甘えび」や日本の伝統食材である「鯨」など、水産物の販売事業で業績を上げ続けているのがスクーナー株式会社だ。中でも甘えびは国内トップクラスの販売シェアを誇る。姉妹会社の株式会社洋星を通して北欧、カナダ、ロシア産の天然甘えびを卸し、日本の食生活に彩を添える。
「甘えびにたっぷり含まれているアミノ酸は、お肌の水分・油分・弾力を保つコラーゲンの主原料。お肌の老化を進行させる紫外線対策にもなります」
と美容効果を説くのは、御年85歳の樋口信行社長だ。甘えびを赤くするアスタキサンチンも、活性酸素を抑えて肌の老化を防ぐことが医学・薬学・栄養学の分野で実証されている。

 甘えびの輸入販売を始めて40年。大手の水産会社や商社を向こうに回して今日までこれたのは、頑固なまでに品質にこだわり、企業努力を怠らなかった賜物だ。独自のプログラムに基づいた厳しいチェック体制を敷いてきた。
同社の技術社員がトロール船に乗り込み、海の状況や船のコンディションを読み取りながら、商品の鮮度を見分け、前処理の方法を指示し、凍結状態を判断する。現地スタッフにも品質管理には徹底した指導を行ってきた。さらに本社と現地が連絡を密にして市場ニーズを捉え、最良の状態で商品を提供していく。

若人よ冒険せよ!
国のために尽くせ

 樋口社長は東京水産大学を卒業後、大洋漁業(現・マルハ)の捕鯨部、海外事業本部勤務を経て独立。新たなビジネスを求めて調査に訪れた北欧で、水揚げされた甘えびの鮮やかな赤色に目を奪われた。ボイル加工を施し輸出すると聞いて、樋口社長は考えた。「これを生のまま日本に運んではどうだろうか」。
漁業関係者のアドバイスに従い、すぐさまグリーンランドに渡った。しかし契約の話は難航し、失意のなか日本に引き揚げることになったまさにその日。小さなトロール船のオーナーが声をかけてきたのだ。

 当時40代の働き盛り。最後のチャンスに夢を託し、即決した。同社の社訓「夢とスピード」はこの体験がもととなっている。この時詠んだ歌が「我が力 試してみるか 架け橋に 緑島から 春風ぞ吹く」だ。
 ただちに樋口社長は船体を真っ二つに切断し改造。そこへ冷凍装置などを導入し工場機能をもたらすなど、水産大学で学んだ知識や大洋漁業時代の経験が大いに活きた。
 その後、グリーンランドの外貨獲得に貢献した功績が認められ、自治政府から外国人初の最高名誉勲章「ナサナット・イン・ゴールド」が樋口社長に贈られた。

 若い世代に「冒険せよ。夢を抱いて、即座に行動せよ」と樋口社長は訴える。85年の人生を振り返り「国の発展に貢献できる人になってほしい」と期待を寄せ、エールを贈る。
 長年のキャリアで培った、時代という波を読む判断力を駆使して、今日も樋口船長はスクーナー(帆船)の舵を取り続ける。

【会社データ】
本社=東京都中央区勝どき2-18-1黎明スカイレジテル西館3F
☎=03—5546-1246
設立=1978年9月
売上高=140億円
事業内容=水産物販売、水産技術コンサルタント
http://www.schooner.co.jp

 

『注目企業オンライン』は各分野における優良企業を独自に取材し、トップインタビュー形式でご紹介しています。

『注目企業ONLINE』は「サンデー毎日」をはじめ、様々な媒体で当社が独自に取材した注目企業の掲載記事をオンライン版として公開しています。

掲載をご希望の場合はこちらまで
s-comm@s-comm.co.jp

2024年3月15日発売!

㈱三協(静岡県富士市)の石川俊光社長が、会社設立60周年を機に書き下ろした「三協」60年の軌跡。

2023年8/31発売!

豊島区長・高野之夫の区長日誌

日本シニアリビングWEB STOREでご購入いただくと送料無料です

「乳酸菌生産物質」に賭けた人生2

「乳酸菌生産物質」に賭けた人生1