鳥取大学/中島廣光 学長

2021年01月21日

週刊文春「学長インタビュー」掲載

日本全国津々浦々から学生が集うキャンパス
地域に根差し、世界に飛躍する大学めざす

鳥取大学

中島 廣光 学長

誰もが一度は訪れてみたい山陰の景勝地、鳥取砂丘。そこから車で15分ほどの場所に鳥取大学の鳥取キャンパスはある。鳥取県民の子弟が通う大学と思いがちだが、驚くことなかれ。83%は全国の津々浦々からやってきた学生たちだ。留学生も積極的に受け入れ、様々な国の学生がキャンパスを闊歩している。
「いろいろな学生と友情を結びながら、国内外の異文化に触れることになります。9割近くの学生が大学2㎞圏内で一人暮らしをしているため、絆も自立心も自然と強まります」
 と同大ならではの魅力を紹介するのは中島廣光学長だ。もう一つ、学生生活にとって大事な利点を挙げてくれた。「平均家賃は3・2万円です」。

日本国中から学生が集うのには当然訳がある。国立大学では稀な獣医学科があるのもその一つだが、何よりも同大では地域に根差したオンリーワンの研究が、かねてよりなされてきたことが大きい。その代表格は乾燥地研究だ。この地域では古来より、砂との戦いは避けて通れない難問だった。
同大の前身校の一つ鳥取高等農業学校で飛砂防止の研究が始まったのは、大正年間のことだ。ここで防砂林の植樹法が確立され、砂地での農業を可能にした。その後、保水という課題もスプリンクラー灌漑で克服。鳥取県の砂地はスイカ、メロン、長芋、ラッキョウの一大生産地に生まれ変わった。これらの成果は同大「乾燥地研究センター」に引き継がれ、今では砂漠化や黄砂対策にも取り組む世界有数の研究拠点として、各国からの研究者・留学生を迎え入れている。
「地域の課題を科学的に解決していく。この伝統のスタイルこそが本学の掲げる基本理念『知と実践の融合』なのです」(中島学長)。

他にも世界最大級の遺伝資源を持つ「菌類きのこ遺伝資源研究センター」、創薬や再生医療分野に取り組む「染色体工学研究センター」など特色ある研究施設を持ち、多くの新知見を世界に発信している。
同大では座学で得た知識・技術を現場で使える「生きた知識・技術」に昇華させるため、実験・実習を重視する。現場に足を運び地域の人々と触れ合い、生の声を聴く。社会との接点にこそ成長の機会はあるとの教育方針だ。
その延長として中島学長は「在学中に海外に行ってほしい。今はコロナ禍で難しいが」と訴える。「日本を、そして自らを客観視することができます。異文化から刺激を受け、帰国後の学ぶ姿勢が大きく変わっていきます」。大学も長・短期のプログラムを用意して後押しする。アジア、北米、豪州に加えメキシコ、ウガンダといった興味深い国も含まれている。

中島学長は東大大学院修了後、鳥取大学農学部に助手として着任。以来40年、鳥取大学と共に生きてきた。しばらくキャンパスに姿を見せない学生がいると、下宿を訪ねたりしたこともある。数ある大学の中から鳥取大学を選んでくれた学生たちだからこそ、大事にしたいとの思いからに違いない。

【大学データ】
住所=鳥取県鳥取市湖山町南4丁目101
☎=0857―31―5007
学生数=5159名
学部=地域学部、医学部、工学部、農学部
https://www.tottori-u.ac.jp

 

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