2020年06月25日
週刊文春「学長インタビュー」掲載
関西医科大学
友田 幸一 学長
創立92年を数える関西医科大学は、これまで総数8367名の卒業生を輩出し、医学・医療界で多くのOB・OGがリーダーとして活躍する名門医科大学だ。同学は2年前に看護学部看護学科と大学院看護学研究科を設置。医学部と協同しての医療人の育成を目指し、単科大学から医療系複合大学へと変貌を遂げた。
「現代の看護界では、技術的・知識的な多様性が必要とされています。こうした社会ニーズに対して医療・介護・福祉へとシームレスに領域を広げ、保健師・助産師も含めた高度な看護学教育を4年制で提供するために設立しました」 と友田幸一学長は話す。同学の看護学部が他の大学と大きく異なるのは、入学して間もなく地域実習を行い、住民との接点を作ることに主眼を置く点だ。看護学の知識がない状態で実情を体感し、学びに生かすカリキュラムを組んでいる。 「本当の『現場』にどのような問題があるのかは教科書に書いていない。時代は移り変わり、人や社会、また病気も目まぐるしく変化する中で、従来と同じ教育体系で良いのか?という視点で取り組んでいます」
建学の精神「慈仁心鏡」すなわち「慈しみ・めぐみ・愛を心の規範とする医人の育成」は、多様性のある今の時代こそ深い意義があると友田幸一学長は話す。 「人と人の関係が希薄になっている社会に、高度なAIやロボットが介入する時代。医療従事者だけでなく、国民全員が失ってはならない大切な考え方であると益々感じます」(友田学長)
同学では医学部学生に対し「医系技官/医務官養成コース」を新設。カリキュラムにこうしたコースを持つ大学は極めて稀である。 「人材輩出機関として『関西医大人』を学外に送り出し、国の制度を変えられる可能性を持ったスケールの大きな人材を育てたい」 と友田学長は話す。一方で「世界に開かれた大学」を標榜し、留学生の受け入れや研究者の招聘などを推進してきた同学は「THE世界大学ランキング」で3年連続ランクアップ。日本の私立大学の中で4位と国内外で評価は高い。 「世界が注目する大学には、自ずと留学希望者が集まり国際交流が進む。好ましいサイクルが生まれます」 と話す友田学長は、2022年4月スタートに向けた「国際大学院」制度を検討中だ。東南アジアや発展途上国の優秀な若者を年間5名、居室や滞在費を含む奨学金を給付する貢献活動を導入し、支援する方針だ。
来年9月に開設予定のタワー棟は、国際交流施設として、また留学生のみならず隣接する附属病院の患者家族の宿泊など、ホスピタルイン機能を備える。並行して同学は脳の高次機能の回復など一段上のリハビリを学ぶ「リハビリテーション学部」の設置を来年4月に向けて構想中だ。
【大学データ(問い合わせ先)】 住所=大阪府枚方市新町2-5-1 ☎=072-804-0101 創立=1928年6月 学生数=724名 学部=医学部、看護学部 http://www.kmu.ac.jp
『学長インタビュー』は「週刊文春」「サンデー毎日」などで当社が独自に取材した注目すべき大学の掲載記事をオンライン版として公開しています。
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